東京自由が丘で立ち上げた小さな出版社「ミシマ社」が、京都へ来て数年。当書房から、そう遠くない川端丸太町にオフィスを構えて、独自の流通方式で良書を届けています。最近出版された井川直子「シェフを『続ける』ということ」(1944円)は、イタリアで修行した15人のシェフにインタビューして、彼等なりの「継続は力なり」を読者に届けてくれます。

そのミシマ社から、全国365人の本屋さんが中高生に心から推す「この一冊」をコンセプトにして、「The Books green」(1620円)が刊行されました。京都からは、新刊書店、古書店など22店舗が参加。私も声をかけていただき、一冊推挙いたしました。「中高生に」という企画ですが、大人が読んでも面白い本ばかりです。大江健三郎「新しい人よ目覚めよ」、ポール・オースター「ムーン・パレス」、「萩原朔太郎詩集」など、お〜っ、これを推挙するかぁ〜と、思って、推挙の理由を読むと成る程と納得したりします。

その本のここを読め!みたいな推薦者の手描きポップと、「次の一冊」というさらなる一冊のお薦め本の紹介、そして紹介された方のお名前、勤務先と住所までが記載されています。気になる本屋さんを訪ねてみるのも楽しいかもしれません。

私がパラパラと読んだ中では、西原理恵子の「この世でいちばん大事な『かね』の話」を紹介されていました。ごもっとも!、高校生にも、大人にも読んでもらいたい本ですね。

因みに私が選んだのは、池澤夏樹「アトミック・ボックス」

「少女は知恵と度胸で危機を突破する」がポップです。推薦理由?、それは、この本をお買い求めください。(本日入荷予定)

ミシマ社からは同時に、甲野善紀著「今までにない職業をつくる」(1728円)という、これまた読んでみたい本が出ました。武術研究者として35年のキャリアを誇る甲野先生が「自分の感覚を育て、現在の我々が置かれている状況をよく観察し、自分自身がより納得できる生き方をするために、自分の仕事を選ぼうという若い方の参考に」と書かれたものです。

 

共同企画、と言っても私が勝手に商品を揃えただけですが、4月2日より京都駅ISETAN内「美術館『えき』KYOTO」で、「今森光彦 自然と暮らす切り紙の世界」展が始まります。滋賀県在住の写真家、今森さんは、「里山」という概念で人と自然を見つめてきました。当店でも人気のある写真家ですし、彼の本を集めました。

初の切り絵作品集「魔法のはさみ」(学研1400円)はお薦めです。え?これ本物じゃないのと勘違いする見事な色彩の昆虫、黒一色で製作されたユーモラスなカメレオン等々、会場に行く前の予習(?)にいかがでしょうか。

詩人の工藤直子とのコラボ「クヌギおやじの百万年」(朝日出版社700円)は、彼女の詩と今森さんの写真をコラージュした一冊です。笑ったのは、開花した花びらに偶然乗ったチョウチョとカエルの写真の横の言葉が「哲学する」でした。まぁ、そんな風にも見えますが……..。

「しとしとと 林に雨が ふりそそぐ しずかな しずかな 夕暮れでした 葉っぱのかげで 小さなテントウムシが しずかに 命をとじました 風から知らせをうけた クヌギおやじ そっと咳をして 夕方のニュース えー本日は雨なり雨なり ただいまかわいい命が旅立ちました 涙のような雨に抱かれ 背中の水玉模様が にじんで揺れました」

詩が伝える森の生と死をいっぱいつめ込んだ本です。きっと、里山に出かけたくなります。

工芸村オークヴィレッジ代表、稲本正編集の「森を創る、森と語る」(岩波書店/絶版950円)では、「資源としてではなく、生態のからくりとして森を見る」と題して、話をされています。

「私は、人里近くで身を寄せあうように散在する、渋色に包まれた冬の雑木林を散策するのが好きである。」という素敵な文章で(私はこの文章で気持ちよく、一気に読ませてもらいました)始まる「里山の少年」(新潮文庫/絶版450円)もあります。そのほか、雑木林を購入した彼が、そこで見た爆発する生命の姿を文章と写真で描いた「萌木の国」(世界文化社/絶版1400円)。

珍しいところでは、海外で撮影された「川をのぼって森の中へ ボルネオ島マハカム川の旅」(偕成社1200円)、「たくさんのふしぎ傑作集アマゾンアマゾン」(福音館/絶版800円)も揃えました。

美術館『えき』KYOTO展の割引券も置いてありますので、ご利用下さい。

 

 

★3月30(月)31(火)連休させていただきます。

4月1日(水)〜12日(日)「古書善行堂ワンコイン古書市」開催します。銀閣寺の善行堂さんがレティシア書房で、500円均一大放出セールです。

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3月中旬、デザイナーの金子國義が亡くなりました。彼の作品は加藤和彦の一連のCDジャケットデザインで知りました。「ベルエキセントリック」(紙ジャケ仕様2000円)のモダンで、どこか退廃的なアートワークは目に焼き付いています。

36年埼玉出身の彼は日大芸術学部在学中に、歌舞伎舞台美術の長坂元弘に師事しています。66年「O嬢の物語」翻訳中の澁澤龍彦の依頼で同作の挿絵を手がけ、翌年、初個展「花咲く乙女たち」で画壇デビューしました。その後、世紀末的で、エロスの香り溢れる画風で幅広い活動を繰り広げました。多くの書物の挿画を担当されたので、店にもあるかなと探してみると、あるもんです。

翻訳と挿画を担当した「不思議の国のアリス」(メディアファクトリー・初版/絶版3000円)。ちょっと生意気そうなアリスの表情と、本人自身が語っているように「甘くて美味しい出来上がり」で上等のケーキを平らげた感じになる絵本です。矢川澄子翻訳による同書(新潮文庫300円)でもカラー挿画を提供していますが、翻訳が変わると雰囲気も変わります。

 

 

 

画壇に彼を紹介した澁澤の本では、「城=カステロフィリア」(白水社1200円)の表紙を飾る孔雀の鮮やかな作品が素敵です。これは、昭和50年代後半に、「日本風景論」の一冊として出版されたものに、金子が絵を付けて新たに刊行されたものです。

彼は77年スタートした海外の性愛文学、官能小説を紹介する富士見ロマン文庫の表題画を担当しています。その一冊、ブライアン・デニスンの「乱れたベッド」(絶版300円)を飾る女性達はその典型です。もう一冊、「エロティシズム12幻想」(エニックス700円)という日本の作家によるオムニバス集の表紙もいいですね。暗闇に浮かぶ男と女。女は鏡を手に持ち、男はケースを膝に置いて前を見据えているだけの構図。二人はどんな会話を交わしているのでしょうか。

蛇足ながら、この本に京都出身の菅浩江が「和服継承」という短篇を出しています。京都、和服だけでエロチックな妄想はち切れる傑作??です。

他にもあるかもしれません。お時間があれば探しに来て下さい。

★勝手ながら3月30(月)31(火)連休させていただきます。

 

先週のNHK「日曜美術館」の特集は、安西水丸さんでした。そして、今日が丁度ご命日(1942年7月22日〜2014年3月19日)です。

イラストレーター、漫画家、作家等々、様々なジャンルで活躍した人でしたが、とりわけ、村上春樹と組んだ作品群はどれもいい味を出しています。

「村上朝日堂超短篇小説 夜のくもざる」(平凡社1300円)は、僅か数ページの村上作品に、洒落たタッチの作品が書かれていて、何度眺めても飽きてきません。「スパナ」という村上の短篇は、すぐにモーテルに引っぱりこむ男に、スパナで一撃を与える女性を描いた、怖いお話で、彼女「世の中には鎖骨を砕かれても当然ってやつもいるのよ」なんて平気で口にします。そして、その横に安西はスパナを付けた人形を描いています。いや、ユーモア抜群です。

或は、「ランゲルハンス島の午後」(新潮文庫350円)の「ウォークマンのためのレクイエム」に登場する村上愛用のウォークマンを描いた作品からは、素敵な音楽が飛び出してきそうです。(ウォークマン、って今や死語ですね)

安西は一時、雑誌「ガロ」に漫画も発表していました。残念ながら店には今ありませんが、TVで見た時に、つげ義春風の作風でした。

「あの人、アンソニー・パーキンスに似てる」

なんて台詞が随所に登場する70年代ニューヨークに暮らす若い日本人カップルを描いた都会派小説「手のひらのトークン」(新潮文庫・初版/絶版750円)は、あの時代のアメリカンカルチャーを浴びた世代には眩しい輝きを放ってくれます。

そして、彼の最後のエッセーとなった「ちいさな城下町」(文劇春秋1350円)は、全国の小さな城下町を巡った一冊です。有名な寺社仏閣があるわけでもなく、老舗のお店が並んでいるわけでもない小さな城下町をブラブラ歩きながら、その町の歴史をひも解いていきます。

「飯田城の形跡は今全くない。それでも町名を楽しみ、基盤状の通りを歩くだけで城下町の風情を感じることができる。この町は小さな史跡も大切にしている。そこかしこに立つ標識がそれを物語る。城下町の誇りが感じられた。」

なんて、文章に出くわすと、旅に行ってみたくなりません?

同じく旅行気分満喫の「エンピツ絵描きの一人旅」(新潮社・絶版950円)は表紙デザインがとても素敵です。

●安西水丸の本を集めた小さなコーナー作りました。パラパラめくって楽しんでください

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関川夏央のエッセイ集「豪雨の前兆」(文藝春秋700円)の第一章は、「操車場から響く音」と題して、鉄道を主題にしたエッセイが並んでいます。

その中で、松本清張原作の「張込み」の映画作品を取り上げています。58年公開の映画で、二人の刑事が九州へ向かうのですが、その時乗ったのが、夜行急行列車「さつま」西鹿児島行きでした。22時に東京を発車して、京都に翌朝7時。目的の佐賀には、その日の深夜23時。ほぼ丸一日の移動です。原作にはない、その移動の描写が丁寧に描かれています。このゆったりと流れる時間が妙に気持ちいいのですね。しかし、関根はこう書いています。

「1958年は、日本人と鉄道の関係の転換期であった」

この年、東海道線を特急「こだま」が走り出し、東京、大阪を7時間で結びました。その後の、時間短縮へのあくなき追求は、皆様ご存知の通りです。64年の東京・大阪間の新幹線営業を受けて、さらに、こう書いています。

「70年代末には、いわゆる時刻表殺人事件小説が流行しはじめ、やがてそれは液晶板が苦手な人のための消極的なゲームとなった。新幹線はさらに速度を増し、形を変え、いまや長い長いチューブに似た列車が、空気を強引に割り裂いている。

すべてを黙殺して地上を飛ぶように走る新幹線は、同時に自らもすべてから黙殺される。汽車に向かって手を振る子供は絶えたのである」

では、ゆっくりと時間の流れる鉄道の旅が、困難になってきたかというと、川本三郎「そして、人生はつづく」(平凡社1000円)に、そんな事はないと明確に書かれています。奥様が亡くなったあとの、一人暮しの日々を綴ったエッセイですが、東京近郊の路線電車に揺られたり、ちょっと遠出したり。

「十二月の初め、急に海が見たくなって西伊豆の松崎に出かけた。昼に東京を発って特急『踊り子』で下田へ。そこからバスで約一時間、松崎に着いたのは夕方の四時過ぎ」

松崎は、つげ義春の「長八の宿」に登場する場所です。特に観光地でもない所へ、ガタンゴトンと電車に揺られて出向き、一杯の酒を味わい、またガタンゴトンと揺られて帰ってくる。そんな話が満載の傑作エッセイです。

メイ・サートン「独り居の日記」の日本版みたいな宣伝コピーがブックカバーにありますが、その通りかもしれません。静かに過ぎ行く老人の日々を淡々と描いた、55歳以上の方に必読?の本です。

 

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棚からうさもちさんの作品展「うさぎがたり」で展示販売されている、うさぎ達が、どんどんと新しいご主人の元へ旅立っています。(3月15日まで 当書房にて)

「うさぎの旅立ち」と言えば、一冊の本と、その原作を映画にしたアニメと、音楽を思いだします。

リチャード・アダムス原作「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち上・下」(評論社800円)です。

野うさぎを主人公に描いた児童文学作品で、タイトルは英国ハンプシャー州にある丘の名前にちなんだもので、著者自身が育った場所です。この物語に登場するうさぎ達は、高度な知性を持っています。彼等の生存のための闘争が展開される、壮大な英雄物語と言っていいでしょう。スリリングな展開にワクワクさせられます。それが、アニメ化され、確かアート・ガーファンクルが、メインテーマを歌っていましたっけ。一時、部屋のこのオリジナルポスターを貼って、サントラを聴いていました。

 

もう一冊、素敵な動物が登場する小説が出てきました。シーラ・バーンフォード作「信じられぬ旅」(集英社200円)です。このタイトルでは、お分かりならない方でも、「三匹荒野を行く」といえば、「あ〜!あのディズニーの映画か!」と思いだされるかもしれません。これ、二匹の犬と一匹の猫が、危機また危機を突破して、飼い主の元に戻ってくる物語ですが、犬と猫が一緒に旅をする、まさに「信じられぬ旅」です。

著者は後書きでこう書いています。

「動物達の本来の行動をあるがままに記し、犬や猫に余計な人間的感情を持たせず、つまり人間臭くない動物達の姿を描く」

人間寄りの物語を構成していないからこそ、いつの時代の人が読んでも感動するのでしょう。

人間寄りの思い上がりや、過剰な愛情を排して、捨てられた犬たちの現状とレスキューを描いた、第一線の児童文学作家、森絵都の「君と一緒に生きよう」(毎日新聞社700円)の本の扉には、こんな文章があります。

「愛がなくては始まらない 愛だけでは守れない」

この冷静な立ち位置が大事なことではないでしょうか。

 

新刊出版社LIXIL出版から、「京大コレクションにみる教育事始科学開講」(1944円)という面白い本が出ました。

これは、京都大学になる前の、第三高等学校で使用されていた教育のための器具や、道具を網羅した本です。明治時代の学生達が、最新の科学機器を駆使して、新しい知識を獲得していった記録であり、その道具であった様々な器具のフォルムの美しさに見とれます。

本の構成は、「力学」「音響学」「光学」「熱学」「教育掛図」「電磁気学」「コラム」「生物と地質」に分けられています。その分野で使用された様々の道具、実験器具の目的が解説されていて、写真とともに収録されています。例えば「真空鈴」という教会の鐘のような形のものは、「真空では音が伝わらないことを実証する器具」なのです。

あ、これ部屋に置いておきたい!と思ったのは、「チクレル無線電信機」。1902年オーストリアの高校教師が発明したものが載っていますが、妙に想像力をかき立てる形です。

一方、自然界の生物や現象を研究するために緻密な模型が作られてきました。ミツバチや、カイコの模型などは、リアルな写真や、CGでは伝えることができない生き物の精密さ、深さを見せてくれます。受精卵の模型まであるんですなぁ、驚きです。

同社からは、「緑をまとう家」(1620円)も入ってきました。これ、当店人気のミニプレス「house “n”landscape」(もじゃハウスプロダクツ540円)と同じ内容なんです。この本の中で、鼎談「緑をまとう家、北へ南へ」で建築探偵こと藤森照信さんが、面白い指摘をしています

彼は、日本人が緑を愛していない世界的に珍しい人種だと言います。

「日本人は大事な場所から必ず草を取ってきたんです。例えば、伊勢神宮では草を取り、決して草がはえないように石を敷いて、動物が入らないように柵をしています。奈良や京都の神社や住宅も、必ず植物を近づけないようにします。砂利を敷いて、石を敷いて、その向うに池をつくり、その先にようやく植物を認める。

植物の力が圧倒的に強いからなんでしょう。欧米に行った時に思ったけれど、欧米の植物には、人や人のつくったものを壊すほどの力はない。植物に圧倒的な力があるのは、アジアのモンスーン地帯です」

こう言う話も、知的興味が湧いてきますね。

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と、えらそうに言い放ってしまいましたが、もちろん原文ではありません。池澤夏樹個人編集による「日本文学全集全30巻」の第一回配本が、漢字まるでダメの私がスラスラ読める池澤訳による「古事記」だっだのです。

「天と地が初めて開けた時、高天の原に生まれたのは 天之御中主神(アメノ・ミナカヌシのカミ)と高御産巣日神(タカ・ミ・ムスヒのカミ)そして神産巣日神(カミ・ムスヒのカミ)の三名の神だった」

で、「古事記」は始まります。全体は上巻、中巻、下巻に分かれ、神話的世界から徐々に血なまぐさい権力闘争に彩られた現実的物語へと変遷していきます。読み始めた時、天皇がどこどこの娘に生ませた子供の名前の羅列が続くのが退屈でしたが、その絶倫ぶりやら、なんとか子孫を残そうとする涙ぐましい努力に圧倒されどんどん読んでいきました。スサノオと対峙するアマテラス、神武天皇の登場で国作りが開始され、ヤマトタケルの冒険話、そして仁徳天皇をめぐる女たちのバトル(これ、週刊誌ネタです)。そして初の女帝推古までの系譜が語られていきます。下巻で出てくる人間臭い争いごとの話は笑ってしまいましたが、全380ページ、トライしてみてはいかがですか?

このシリーズ、翻訳の面々が面白いので今後も買っていこうと思います。ただ今、川上未映子訳による樋口一葉「たけくらべ」に挑んでいます。この後、町田康訳「宇治拾遺物語」、島田雅彦訳「好色一代男」、いとうせいこう訳「曾根崎心中」、いしいしんじ訳「義経千本桜」、酒井順子訳「枕草紙」、高橋源一郎訳「方丈記」、森見登美彦訳「竹取物語」、堀江敏幸訳「土佐日記」、内田樹訳「徒然草」と、魅力的なラインナップです。この全集のラスト(2017年刊行)を飾るのは角田光代訳による「源氏物語」(全3巻)です。

全集の売れないこの時代に、刊行した河出書房と、こんなユニークな翻訳人を選んだ池澤夏樹の編集者としてのセンスの良さに敬服します。

日本文学全集を出す前に、世界文学全集も池澤編集で刊行されました。こちらも、ユニークな作家が並んでいます。店には数点在庫しています。

河出書房HPに池澤夏樹の「なぜ今、『日本文学全集』なのか」というロングインタビューが載っています。

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2012年の今日、レティシア書房がオープンしました。それから、3年が経過。ようやく4年目に入ります。これも皆様のおかげです。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

当初は10種ぐらいでスタートしたミニプレスも、今や70種類を超えてきました。オープンの時からお世話になっている滋賀県の「COCOCU」や、「murmur magazine」、「日々」、「サルビア」、「せとうち暮らし」は今もおつき合いさせていただいていますし、オープンした冬にご持参いただいた「風の駅」編集の「気になる京都」は、3年間で100冊以上の売り上げを達成。先月には、3年ぶりに「気になる京都2号」が登場しました。

「あの、ミニプレス作ったんですけど……..」と遠方から持ってこられた「房総カフェ」、「LOCKET」、そして、知床から営業?に来店された「シリエトクノート」と、持ち込みも増えてきました。

開店当初は、どんな本が売れるかわかりませんでしたので、自分の好きな作家をメインにしました。須賀敦子、梨木香歩、クラフトエヴィング商會、池澤夏樹そして星野道夫などは、多くの方から、私も好き!というご意見を頂き、今では、在庫を持つまでにいたりました。その後は、天文学者野尻抱影や石田五郎、「森の生活」のソローや「沈黙の春」のレイチェル・カーソン等のネイチャー関係の本棚を揃えてきました。今、押しているのは狩猟女子、畠山千春「わたし、解体はじめました」(1300円)、本多有香「犬と走る」(1400円)等の荒々しい大自然で活躍する女性達のノンフィクションです。これからも、新しいジャンル、作家さんを紹介していきます。

当店は、ギャラリーと本が同居しています。最初は、この作品展に本が合うのかなぁ〜と危惧したこともあるのですが、どんな企画でも雰囲気が壊れないことがわかりました。展覧会毎に本を変えているのではありません。今ある本が受け止めてくれていると考えると、本の持つ大きな力って偉大です。そして、作家さんや、作品展のお客様が、楽しそうに本を手に取ってくださっているのを見ていると、店をやって良かったと思います。

4年目も新たな気持ちでがんばっていきます。オープニングテーマは、気合いを入れる意味でもレッド・ツェッペリンのアルバム「天国への階段」(紙ジャケ・ドイツプレス/限定盤1800円)「ROCK AND ROLL 」ですね!

児童書専門の出版社、福音館から各国の昔話を集めたシリーズが90年代に出版されていました。その中の一冊でブルガリアの昔話を集めた「吸血鬼の花よめ」(絶版900円)が入荷しました。これ、面白いです。

タイトルになっている「吸血鬼の花よめ」は、美しい娘が若い青年に惚れるのですが、実は彼が吸血鬼だったという悲恋ものです。表紙は、この話のワンカット(絵・高森登志夫)ですが、悲しい恋を象徴しているみたいに暗いトーンに満ちています。

しかし、編者の八百坂洋子は、後書きでこう書いています。

「ブルガリアの昔話には、主人公が幸せな結末を迎える話が多くあります。五百年のあいだ、トルコに支配され、自分の国の言葉を遣えなかったブルガリア人は、昔話に、自分たちの願いを語り継いだのかもしれません」

その通り、悲恋では終わりません。読んでのお楽しみです。

もう一つ、おや?思ったのは「つばさをもらった月」という一篇。日本の「鶴の恩返し」に似たお話ですが、こっちの方がカラッとしたユーモアがあって、最後も良かった良かった、で終わるので読後感も悪くないですね。

今回、この本以外にも福音館の児童文学が何点か入荷しました。一番のお薦めは、以前にブログで紹介した「雷鳥の森」の作者マーリオ・リゴーニ・ステルソンの「動物記ー北イタリアの森から」(絶版1100円)でしょう。どの短篇も豊潤な森と、動物の姿が描かれていますが、「雪の犬たち」のラストは、映画にしたらいいだろうなぁ〜、きっと泣くだろうなぁ〜、と思いました。(決して、犬が死ぬなどというお涙頂戴ではありません)

ドロシー・エドワーズの「きかんぼのちいちゃいいもうと その1.ぐらぐらの歯」(750円)は、酒井駒子の絵が素敵な一冊ですし、庫本正「コウモリー地下実験室からの報告」(絶版/初版800円)は、薮本正幸の、緻密に描き込んだこうもりの顔が見所です。

児童文学の美本で、そこそこの価格の本は、手に入りにくいのですが、ポツリ、ポツリと入荷していますので、お時間ある時にでも覗いて下さい。

 

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