漫画家西原理恵子原作の映画は、なぜかほぼすべて観ている。そして、どの作品も女優が輝いています。

「パーマネント野ばら」は菅野美穂、「女の子ものがたり」は深津絵里、「毎日かあさん」はキョンキョン、「ぼくんち」は観月ありさ、「いけちゃんと僕」のCGいけちゃんの声は蒼井優、そして旦那の鴨志田穣の小説ですが「酔いがさめたら、うちに帰ろう」は永作博美と、何れも若手、中堅のノッテル女優さんたちばかりです。

女優さんが輝いているだけでなく、どの作品もそれぞれに個性を持ち、多面的な魅力を楽しませてくれる西原さんの漫画の力は何なのでしょうか。彼女のコミックを初めて手にしたのは「まあじゃんほうろうき」でした。アナーキで、暴力的な麻雀漫画は抱腹絶倒でした。

おかたい「週刊朝日」に掲載されていた、各地の老舗料亭をぼろんちょにあざけり笑う「恨みシュラン」もまた、お下劣、お下品で、よくもまぁ、お上品な雑誌に長い間連載できたものです。その後、税務署との大バトルを描いた「できるかな」と、世の中を常識や、良心をこき下ろし、笑い飛ばす作品を愛読してきました。

一報、叙情派として分類されている作品も数多くあり、映画化されているのはこのジャンルからです。淡い色彩と柔らかい線で構成されたこれらの作品はとても、同一作家とは思えない程です。メルヘンの世界と戯れる女の子と、都会の地の底を這いずり回る女達、男達。絶望を丸呑みする強靭な精神。だから、どうした!と徹底的に反旗を翻し、いかんる相手にも長期戦も辞さない力。もうひれ伏すしかない女性です。

 

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1985年、雑誌Switchは縦28cm×21cmの判型で発行される。

85年Vol.4の特集は俳優ミッキー・ロークと、ニュージャーナリズムの旗手、トム・ウルフ。連載には、鈴木博文がビートルズのことを書いている。86年発行のVol.4の特集は、「ブルックリンライターを求めて」というタイトルで、ピート・ハミル、アーウィン・ショー等の短編が並ぶ。沢木幸太郎の「246」という日記の連載が始まっている。87年Vol.5では特集が「サム・シェパードと漂う男たち」と題して新しい俳優を紹介している。パラパラめくると。山本容子の版画が何点も載っている。写真家、橋口譲二の写真と文章で「見えない時代」もある。

影響大でした、私には。アメリカンカルチャー、そして新しく登場してきた文学、映画、音楽はこの雑誌から教えてもらいました。すべてが、かっこ良かった。スタイリッシュで、知的で、硬質感があって、ちょっとポップカルチャーの最先端知ってるもんね、という錯覚を持たせてくれました。逆に、ヨーロッパはダサく、陰気で、ぼそぼそ歯切れの悪いフランス語なんて聞くと吐きそうでした。第二外国語はフランス語でしたが、なるべくアメリカ英語風に発音していました。

やがて、Switchは縦29.5cm×23cmに大きなサイズに変型する。89年Vol.7の特集は「つれない女」と題してメリル・ストリープ。高橋源一郎の連載の「追憶の1989年」も始まっている。なんと、ポール・ボウルズの幻の短編「視線」も読めたんだ!

Vol.7号に至っては、小林薫の特集。沖縄で映画撮影中の小林を追っかけたノンフィクション。表紙も、もちろん小林薫。巻頭小説は池澤夏樹の「マリコ/マリキータ」。そうか、ここで最初に読んだんだ。

ただ、この辺りから私はこの雑誌から離れてゆく。何故だろう?

字が小さくて読みにくくなったという肉体的な事実はさておき、一言で言えば、ええかっこするのに飽きた、という事でしょうね。今、店には、30冊程でていいます。パラパラめくっていると、switch片手に、ジャズ喫茶にいりびたっていた滑稽極まりない姿が、四谷怪談のお岩さんみたいに、べったりと張り付いてきます。早く、買ってお岩さんを背中から離してください。

 

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先日、星野道夫のファンの方と、彼の著作「ゴンベGOMBE」にてついてお話をしていました。

当店にあるのは97年に発行された初版の大きいサイズ(5000円)ですが、やっぱり後から発行された普及版より、写真の精度がはるかに良いですね、という話から始まって、この本に登場するチンパンジー研究の第一人者ジェーン・グドールへと進み、そして京大霊長類研究所の山極寿一先生の話になりました。その方から「ゴリラとあかいぼうし」は良い絵本でしたね〜と会話は進みました。

私にとって、山極さんを初めて知ったのは、NHKで放映していた爆笑問題の「学問のススメ」でした。この二人の鋭い突っ込みにも動じる事なく、温和な口調でお話をされていたのが印象的でした。その後、TVで何度か拝見しました。また、京都シネマでは、狂言師のゴリラパーフォーマンス付きの講演も聴かせてもらいました。(映画もあったんですが、何の映画だったか思い出せません)

「ゴリラとあかいぼうし」。ほぼ絶版状態みたいでした、で、ネットで探して注文しました。郵便屋さんが届けてくれて開封して、さて販売カードをつけようと思った矢先、なんと目の前に、山極さんご本人がいらっしゃいました。もう、シェ〜ッ!のポーズの気分でした。

ご本人は、ちょうど店内で開催中の斎藤博先生のアフリカ素描展を見に来られたところでした。早速、先生サインお願いします、今届いたばかりです!と迫り、TVで見る時と同じ感じで、気持ちよくサインして下さいました。(今、店にあるのは貴重なサイン本です)

星野道夫→グドール→山極寿一の本→ご本人と繋がっていきました。こういう事もあるんですね。

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「シュルレアリスムの発見」(鶴岡善久)「鶏留啼記」(今井田勲)の湯川書房の本と一緒に二冊の湯川書房の小冊子が入ってきました。

「江川・山本・野田の限定本 追録」高橋啓介著

「江川・山本・野田の限定本」がいかなる装丁で、内容かは知りません。この小冊子は、著者が言うには、限定本発行後、一年が経過し、その本の中で疑問点が付いていた三冊を入手し、その詳細を記録して追録としたものという事です。その三冊とは堀辰雄「美しい村」、日夏秋之介「海面表」、マリー・ローランサン「夜たちに手帖」です。その三点について、写真を撮り、内容を簡単に記述した僅か14ページの冊子です。昭和58年12月20日 限定350部発行で600円でした。少部数で発行した限定本のさらに、追録本を出すという丁寧さ、この出版社の姿勢を垣間みる冊子です。

もう一点「別冊 闇の人」

小川国夫の小説「闇の人」についての評論、エッセイを集めた冊子。饗庭孝男の『「闇の人」をめぐって』で始まり、本の口絵を担当した有生夫の、口絵を巡っての湯川書房との経緯を書いたエッセイで終わる。一冊の小説を巡って、語り、それを小冊子にしてしまう。その小冊子を待っている文学愛好者たちがいた、幸せな時代が伝わってくる小さな本です。

湯川書房の住所は京都市中京区御幸町通り夷川上がる松本町。細部にまでこだわり、書物を愛した湯川書房。レティシア書房のすぐ近所でした。こんな良質な出版社の近くで湯川書房の本を扱えるなんて、幸せですね。

 

 

 

 

 

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NYで最も愛された書店、イーストサイド74丁目にあったその名は「ブックス&カンパニー」。

恵文社一乗店店長の堀部さんの本「本を開いて、あの頃へ」(サンクチュアリ出版600円)を読んでいたら、「ブックストア ニューヨークで最も愛された書店」(晶文社700円)の事が書いてあった。ジャネット・ワトソンが始めた独立系書店「ブックス&カンパニー」。ポール・オースターらの作家に愛され、多くの朗読会を主催し、本好きの聖域となった書店。この書店を97年閉店の最後まで支えたのが、ウッディ・アレンだった。自身の監督作品「世界中がアイ・ラブ・ユー」にもちらっと登場する。(この人程、本屋がちらっと登場する映画を作る人はいない)

堀部さんは、この本のことを書きながら、こう言っている。

「本を愛好する者たちが、本屋に求める最たることは『そこにしかない店がそこにあり続けてくれる』ことである」

新刊、古本を問わず、真摯に本屋に取り組んでいる諸氏の思いだろう。そこにしかない店を保ち続けるのは並大抵のことではない。本のある空間が至福の時間を醸し出す事で、人は始めて、その人にとっての、いい本に巡り会うのかもしれません。

そういえば、日本映画「読書する女」のエンドタイトルで、ヒロインの書架一杯に置かれた本の部屋。あるいは、「森崎書店の日々」に登場する、小さな古書店の棚の間。どちらにも、本の静かな佇まいが至福の時を演出していました。

ところで、書店員時代、この映画見た?と回りの書店員に聞いて回りましたが、全滅でした。なさけない。本屋大賞受賞セレモニーで、受賞作品の自分で作ったポップ持って、キャッキャッしていた、そこのねえちゃん、そんな暇あったら映画館に行きなさい。

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みすず書房が発行している「大人の本棚」というシリーズ、は本好きにはたまらんラインナップです。

2001年からスタートしたこのシリーズは、ちょい玄人好みの作品集を連発してきました。今、店にあるのは山田稔散文選「別れの手続き」、湯川秀樹博士が60年代初期に発表していた「本の中の世界」、庄野潤三が55年日経に連載していた「ザボンの花」 、名エッセイスト早川良一朗の円熟のエッセイ集「さみしいネコ」そして、吉田健一の「友と書物と」です。

これまでに販売したのが、小津安二郎の軽妙な語り口の「東京物語」、短編の名手。小沼丹の「小さな手袋」そして、野呂邦暢の「夕暮の緑に光」と本好きなら、いいねぇ〜と言ってもらえる作品ばかりです。講談社が出している文芸文庫に近いラインアップですが、このシリーズの方が、グレードは上です。

内容もさることながら、紙の品質、行間、字の大きさ、そして全体のデザインの落ち着いた佇まいが、気持ちを穏やかにしてくれます。私が新刊書店員だった頃から、ご贔屓にされている方は、少なくありませんでした。書物らしい、書物と呼ぶべきシリーズです。だから、古本市にもあまり出ませんし、古本屋さんでもあまり見かけません。ネットでは見かけますが、新刊の価格と変わらない値が付いています。

きっと、買われた方が、大事に持っておられて、ほっとしたい気分の時に、本棚から出しては、パラパラと読んでおられるのではないか、と想像します。本にとっても至福の時を楽しんでいるんだと、売る方もふっと微笑むことのできる貴重なシリーズです。

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「シートンの本、それも今泉吉晴の訳で。」という本のお探しを、複数の方からお聞きした。

今さらシートン?と思いながらも店頭を探すと、一冊もない。そんな時、運良く「シートン子どもに愛されたナチュラリスト」(福音館2002年)が入荷しました。著者はその今泉さん。ちょっと読んでみようかな、とカウンターに置いた途端、それ下さいとのお声。はぁ〜?。

今も、シートン? もうこうなれば探すしかない。で、「ロボ」(福音館2003年)、「わたしの愛犬ビンゴ」(童心社2010年)そして、売れた「シートン」を再度ゲットしました。始めて知りましたが、どの本にもシートン自身の絵が数多く収録されています。特に「シートン」は、その絵の美しさに驚かされました。「ロボ」の荒野を躍動する狼の姿の画力も楽しみました。

山形と岩手に山小屋を建て、その森に住まいする動物たちを見つめる訳者の今泉さんが、シートンの絵200点を網羅しながら、シートンの全体像に迫った「シートン』(全360ページ)は、森と、そして野生の動物と共に生きたナチュラリスト、シートンという人間の思想を見事に捉えていて、私も欲しくなりました。生涯、動物の心がわかる人を求めたシートンもまた、人間が勝手にに自然に介入して、人間のための自然に変えてしまうことに反対し続けた人でした。

 

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国立近代美術館で開催されている「井田照一版画展」に、お店の開店前に行ってきました。

この作家の事は全く知りませんでした。京都を拠点に創作活動を続け、膨大な作品を残して2006年世を去りました。

展示会場入った所に、展示してあるカラフルな色彩の諸作品を見た時、つまらん、と思ってしまいました。出来損ないのポップアートか。しかし、奥へ、奥へと進むうちに、その表現領域の広がりに驚かされ、繊細で、余白の多い画面構成で、直線が微妙に交差する作品に出会う事ができて、満足でした。出口にあった果物のオレンジを取り上げた作品の中で、青い色で仕上げた作品のザラザラした感覚が妙に、印象に残っています。その後、近くのUNITEさんに行き、ハンバーグランチをいただきました。このお店のハンバーグの微妙な大きさが気に入ってます。帰りしなに某新古書店を覗くと、おっ!辻村益郎さんの表紙彩画&装丁がいい雰囲気のベルヌの「海底二万海里」(1973年福音館)があるでわないか!この小説のマニアとしては買わないわけにはいきません。

 

お店に戻ると、奇妙な本が一冊持ち込まれていました。

「増補四訂八丈島流人銘々伝」(昭和39年第一書房)

流罪の概論から始まり、流刑地として八丈島に送られた人たちの生活を丹念に追っかけたノンフィクション。そして、第二部では、実際に送り込まれた人たを一人一人、紹介するという気の遠くなるような膨大な作業を収録。そして、第三部は「八丈島流人明細帳」流罪決定の日時、島に着いた時の年齢、罪状、出身地、死亡時までを一覧で網羅するという本です。

こんな本が出ていたんですね。葛西重雄、吉田貫三のお二人の著者の執念が生んだ一冊です。

 

 

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火曜日夜9時。堺雅人主演のドラマ「リーガルハイ」が断然面白い。

金のためにしか動かない弁護士が主演のドラマ。でも、よくあるパターンで、実は正義感を秘めていたとか、逆のパターンで悪の道の深みで喘ぐ男の孤独を描くとか、そういう二流センスは皆無のドラマです。

速射砲の如く飛び出す主人公の毒舌が先ず面白い。火曜の夜9時ってゴールデンタイム。その時間帯に、こんなに良識とか、社会正義をあざ笑うドラマをやるなんて!100人いれば、100人の正義があって、100人いれば、100人の悪があるのが当たり前。みんなが一緒の正義なんて、ちゃんちゃらおかしいよね〜と笑い飛ばす。もう、コミックの主人公ばりの奇妙なヘアスタイルとオーバーアクションで一気に加速する堺雅人が快調です。

しかも、この番組。制作はフジテレビ。フジといえば、日本は豊かな社会だという幻想を、数々のトレンディドラマでブラウン管につくりだした大御所ですね。女子アナを商品化して、マーケットに売り込んだ手法は見事でした。ドラマが提供するトレンディー追っかけてたら、きっと幸せになれますというテレビ局で、「ケッ、ケッ、ケッ」とその大嘘を笑い飛ばすドラマをやるとは、太っ腹というべきか。

ま、脚本を書いている古沢良太は、映画なら「キサラギ」(見事観客を騙します)、「探偵はBARにいる」(早く観たい!しかしいつも貸し出し中)。テレビは「ゴンゾウ伝説の刑事」(向田邦子賞受賞)、「外事警察」(見応え十分のNHKドラマ)そして、「相棒」を担当。なるほどね、そら上手いわなぁ〜と感心します。

この「ケッ、ケッ、ケッ」という感じは、西原理恵子様の「できるかな」(2003年扶桑社500円)シリーズで、税務署と大バトルするやり取りに似ていますと「がんばろう日本」みたいな、一直線にダーッと同じ方向に向くのが社会正義の風潮に、馴染めないお方には、きっと心安らかに??してくれる一冊です。

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『チャワンが飯を食べる食器なのに茶の碗とされるのは、チャワンが陶器の代名詞として使用されたからである。』フムフム

 

『なぜヨーロッパの人はそんなにコショウを求めたのだろう。それは肉の保存に関係をもつ事柄である。』そら、そうやろな。

 

『むしろ辛党ということばは、現実の味よりも「あまい」に対する「からい」に関係をもつのではなかろうか。』

『「すいもあまいもかみわけて」ということばからわかるように「すい」と「あまい」も対立概念になっている。』ははぁ〜。

 

以上すべて、古本に鉛筆で線が引かれていた箇所。いわゆる「痕跡」というやつです。

持ち込まれた石毛直道著「食卓の文化誌」という本を開いてみたら、たくさん線が引かれてました。痕跡を消しゴムで消しながら、自分からはきっと開くことはなかった本を、こうやって読めるのもちょっとした楽しみになりつつあります。

自分の守備範囲など、きわめて狭い私には、面白い作業です。

店主と交代しながらの店番、今週はエビスタさんの風景画展が好評で、通りがかりの方もちょっと覗いてくださっています。

そんな中、『Leaf』という雑誌にレティシア書房が掲載されました。

取材の折りに、我が家の犬マロンが寝そべっていたらしく、写真を撮ってもらいました。

写真横に「看板犬マロンが出迎える云々・・・」と書かれていたので、お客様に「犬は?」と聞かれてびっくりしました。

暑い日でマロンは裏の通路で爆睡だったもんで。

すみません。夏は看板犬、時々お休みしています。(女房)

 

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