京都新聞夕刊連載の「現代のことば」5月25日にお馴染み善行堂の山本善行さんが「街歩きの記憶」とのタイトルで書かれています。

これが、ゆったりしたリズムの文章で、とても心地良いのです。ヘミングウェイの「移動祝祭日」の事から始まり、自分の住む街の事へと移り、若き日、ユニークな上映作品企画で有名だった京一会館のこと、しあんくれーる、BigBoyといったジャズ喫茶のこと、そして山本さんがよく通われた古本屋のことへと筆は進む。

この件で、BigBoyで300円のコーヒー飲みながら、★一つの岩波文庫(安い)を読んでいた大学時代を思い出しました。

内容がセンセーショナルでもないし、奇をてらった文章でもない。誰しも、あぁ〜こんなだった、と思い出す事ばかりです。しかし、ゆったりと進む文章が、まるで彼と一緒に街中を散歩している気分(小津映画に流れるリズムにとても近い)にさせてくれます。おそらく、このリズムを紡ぎだすまでに、何度も何度の推敲されたはず。こういう文章にであうと、ブログ更新のためにバタバタと文章を書いている自分が恥ずかしくなってきます。最近では、このバタバタ、尻切れとんぼ感が、私のリズムだと開き直っていますが、かないません。

(山本さんの記事は店に置いておりますので。読みたい方はお申し出ください)

梨木香歩の「からくりからくさ」(新潮社99年700円)

古い民家に住む四人の女性達の静かに過ぎてゆく時間を見事に描写した長編小説。この家で、ゆっくりと育って行く植物と、同じような時間軸で彼女たちも人生の様々な局面を乗り越えていきます。ラストシーンは、この作家のファンタジー小説家としての質の高さを示しています。400ページ弱の小説ですが、毎日すこすづつ、時間をかけて丁寧に読んでもらいたい一冊です。

小説に登場する家と同じように、この店もゆっくり育っていき、最後に朽ち果てて、残るは主人の白骨だけになればいいですね。

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昨日、先週末の大阪で催された一箱古本市に出品していた本が戻ってきた。

初めての出品。ドキドキで箱を開けました。一冊も売れてなけりゃ、どうしよう。結果は30冊持ち込んで、10冊の売れでした。まぁ、初めての体験にしては上出来かな。主催されたスタッフの皆様お疲れさまでした。

で、戻って来た商品ですが、棚には新しく入荷した商品で一杯です。困った。しばらく考えて、ギャラリーの棚の下の平台が空いているのを発見。80冊程並べられるので、ここをセール商品置き場に模様替え。かえってきた商品やら、新たに追加した商品を並べて、「200円〜500円コーナー」に生まれ変わりました。池澤夏樹「タマリンドの森」200円、坂本龍一「音楽は自由にする」500円、辺見庸「屈せざる者たち」300円、「上方芸能の魅惑」400円、ユリイカ増刊「宮崎俊の世界」200円、ユリイカ「押井守特集号」200円、小林信彦「道化師のためのレッスン」400円と多種多様な本が並んでいます。掘り出し物探してもらえればと思います。

実は、8月後半にギャラリー部分を解放して、一箱古本市+ドイツパンの写真展&パン販売という展示会を計画しています。まだ、企画段階なので未決定な部分がありますが、やってみたい!と思う人はお店までどうぞ。

 

開店して、二ヶ月。誰〜も来ないという恐怖の日も、もっと安せんかい!という如き、来て欲しくないお客様もなく無事に通過しました。みなさん、ありがとうございます。これも、一重に私の人間性によるものと自負しております。地球にも、人にも優しくない私のごとき人間が、ご批判も受けずに、それなりに皆様のお相手をさせてもらえるのは、本棚に並んでいる本が出す、こんなお言葉

「ちゃんとやりやぁ〜 わたしらの晴れの舞台作ってやぁ〜」です。

自分で仕入れた本には、最後まできちんとしていたい、という思いです。

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昨日、私もご多分にもれずに、金環日食を楽しみました。

丁度朝の犬の散歩でした。なかなか神秘的な体験でした。御池通りの日ざしも、いつもと違い少〜し暗めで、これまた毎日観る風景とは異質なものを見ているような気分でした。今は、科学的に説明もされていて、一つの科学現象として楽しめるものに過ぎませんが、過去、情報のない時代だったら、きっと不吉で禍々しい現象に見えたと思います。

ところで、こういう自然科学の大スペクタクルに立ち会うと。いつもの人が作った時間の流れとは違う、もっと大きな時間の流れを感じます。1分60秒、1時間60分、1日24時間という極めて規則的に経過してゆく時間とは違うものが存在する。この地球を取り巻く大自然もその時間に沿って動いてます。だからこの自然は人間の事なんか歯牙にもかけていません。自然は優しい、はぁ? 自然保護。はぁ?保護されるべきは人間ですね。地震はあって当たり前、山は崩れ、竜巻で家屋は舞い上がる。雷は人を焼き、高波は人をさらって行く。まぁ、地球の邪魔にならないように、隅っこで細々と暮らすのが肝要かと。

慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている 一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ あらゆることを

自分を勘定に入れずに よく見聞きし分かり そして忘れず 野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて」

宮沢賢治の詩「雨にも負けず」の一節は、そいうことが当たり前と言っています。

ところで、時間の流れと言えば、光瀬龍原作、萩尾望都画による「百億の昼と千億の夜」を思い出します。

「二千億年の昔、原初の時点から時は流れ始め、二千億年後のかなたで止む」

世界の終わりとして存在する永劫の門での弥勒と阿修羅との時間と宇宙生成をめぐる論戦は何度読んでもスリリングで、何度読んでもさっぱりわからない「面白さ」に満ちた傑作です。(秋田書店SFコミックス上下300円)

 

 

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毎週木曜日、鞍馬口のスーパー前で、古本市が開かれる。文庫、絵本、文芸書すべて○○円。

この市の事聞いてから、数年。毎週は無理ですが、なるべく行くようにしている。ご近所のおじさん、おばさん、学生に混じって、古本屋の親父やら、携帯片手のせどり屋までと大混雑しています。本日も行ってきました。文庫7冊にハードカバー2冊をゲット。

岩波書店が、梶山季之の「黒の試走車」を文庫で出していたのは知りませんでした。へえっ〜あの岩波がこんな企業サスペンスを出すなんてとびっくりです。映画は確か、田宮二郎主演のクールな作品でした。

ひとつ珍しい本を見つけました。中村智子著「風流夢譚事件以後」(田畑書店76年)。深沢七郎の小説「風流夢譚」を雑誌「中央公論」(60年12月)に掲載したために起こった右翼少年によるテロ「嶋中事件」(61年2月)。当時、中央公論社に在籍していた編集者の著者が、この事件に巻き込まれ、翻弄されてゆく様を描いたノンフィクション。

版元の田畑書店というのも聞いたことがない。最終ページに出版している本が載っている。龍村仁「キャロル逃走宣言ーロックンロールテレビジョン論」が出版されている。時代の闇にどんどん切り込む鋭い出版社みたいで、こちらの本も読んでみたい。

 

さて、もう一つ。こちらは市ではなく、ある場所で見つけた本。

昭和10年発行の「子規遺墨集」。厚さ3.5cm、長さ40cm、幅30cmの和綴じ本。正岡子規の毛筆の書をすべて網羅した大著だ。発行元の巧藝社の住所を見ると、「東京市神田」。「東京都」ではなく、「東京市」というのが、この本の古さを象徴している。さて、困った。正岡子規なんて、TV「坂の上の雲」に登場するキャラでしか知らない。だから、当然この本の価値も判断できないので、ネットで検索すると、なんと70000円の高値がついている。ひゃぁ〜、ますます値段が解らない。今日は、この値段をつける作業で悩みそうです。この価値のわからない人には1000円でも高く感じることでしょう。まぁ、70000円の古本を扱えるような書店ではないので、ほどほどで店に出します。また、実物を見にきてください。

 

 

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市内の大学で心理学を勉強されている学生さんがご来店。で、その話がふ〜ん。

彼曰く、就職に失敗した大学生が自殺してるんですよ。ふ〜ん、というのがその時の感想でした。その翌日、朝刊に目を通すと、こんな記事が。

「就職に失敗して自殺した大学生150人に」

こんな出来事読んで、え〜就職失敗したぐらいで自殺?!、情けない!と感じた貴方。失格です。

生まれた時から、正しいか正しくないか、白か黒かの二進法的世界の住人にならされた彼らが就職失敗=すべてダメという思考に走るのは当たり前。むしろ自殺者が少ないぐらいです。彼らに非はなく、責められるべきは、そんな世の中を作った貴方、失格の烙印を押された貴方です。失敗したってやり直せるとか、他にも道があるなんて軽々しくお説教したって通用しません。そういうゆる〜い世の中を否定して、「頑張ろう」成長一直線で疾走してきたんですからね。

森達也は、自分の著作の中で、世の中は正義か悪かではない、そのグレーゾーンに真実があると言い続けてきました。でも、不幸なことにこの国では、経済の成長こそ美徳、繁栄こそ正義。それが唯一の正解という流れに、みんな巻き込まれました。

努力すれば報われる。夢は必ずかなえられる。そんなアホな! 本当はこう言うべきでしょう。

努力しても、ほぼ報われません、夢なんて立ち消えます。でも、どうってことないです。

あきらめるな、自分を信じろなんて言う輩より、もうええやん、今日は古本屋で安い本買って、ビールでも飲んでお昼ねしまひょ、という輩の方が信用できます。

数十年前、作家の昭如氏が、今の若者をどう思うかと問われて、「若者は全然正しい。悪いのは大人だ」と力説していました。あん時は理解できませんでしたが、真実です。日本がこんな状況なのに、経済成長こそ!と力説している大人達が大勢います。まだ、多くの若い世代を殺すつもりかいな!今、なすべきことはヒートアップするんじゃなくて、トーンダウンして生きていく事を、貴方や、私のような大人世代が示すことだと思うんですが。

野坂昭如は「東京十二契」(昭和57年文藝春秋200円)と、「子噛み孫喰い」(昭和49年筑摩書房700円)があります。

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電話を取ると、「ミニプレス出したんで置いてもらえますか」という奇麗な声の女性でした。

夜、もう閉店間際に、その女性は来られた。拝見する。「本のある部屋」というミニプレス。特集は書店員の座談会「本屋大賞を全力で楽しむ」と、「梅田書店マップで、もっと楽しい本屋巡り」。新刊本のことがメインですが、私には、古本も、新刊本も、ミニプレスも関係ありません。紙の上に字が書かれてある「楽しきもの」です。面白いってこういうことね、とニンマリさせてくれるミニプレスの登場です。次号は11月とか。応援しますよ。因みにこの雑誌のデザインをしているAさんの「妄想本棚」に並んでいる本が、彼女の個性の良く出た楽しい一項ですね。(500円)

 

先日、大阪の版元で、限定販売の書籍を送り出していた湯川書房の「花深き」(小川国夫著)を、ご存知「善行堂」で入手しました。挿絵は平野遼。丁寧な本はこうして作るんだというお手本みたいな一冊です。この大量出版時代には、到底こんな本作りは不可能でしょうが、一日に一度はページをめくりたい魅力に溢れた本らしい本です。置いておくだけで光り輝く、そんな気がします。

 

と思えば、「富嶽三十六景」という全46枚のポストカードを収録したものが入荷しました。これは、なんと藤沢薬品という製薬メーカーが販促で作ったものらしく、各ポストカードには、主力商品の「ノイビタ」、「チオクタン」のロゴの入った代物。当然非売品ながら、ちょっとマニア心くすぐる一品です。

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今日は卓球の試合でした。

午前9時に、府立体育館に向かう。現在私のランクはD級。なんとか今日C級へのステップアップを目論む。試合は数人に分かれたチームごとの総当たり戦。練習をしながら、この親父は足が遅そうとか、こっちの旦那はバックサイドが弱そうとか、試合の対策を考える。

お〜。小学生がいる。1勝儲けた、と思ったのだが、こいつがくせ者だった。

最初の方と試合開始。1セット目を落とすも、その後相手のサーブを読み切り、3勝して勝ちをゲットする。この調子と、一人ほくそ笑みつつ、その小学生の試合を観る。

強い!!!!!!!!!!!!!

卓球のサーブは微妙です。下回転するもの、上回転するもの、横回転するもの、高速で逃げていくもの、無回転で沈んでゆくもの、そしてそのミックス。100人いたら、100種類のサーブがあると言われるぐらいの個性がある。で、その小学生のサーブ、高速で飛んで来て、横下に回転する。返したと思ったら、フワリとした棒玉で、スマッシュを打ち込まれる。もう対戦相手はなす術もなく、ストレート負け。

う〜ん、これはヤバい。私は二人目のちょっと年配の方にも勝ち、この小学生との対戦を迎える。このサーブがもう難関でした。大きくドライブして、しかも逆に回転つけて返さないと、全部スマッシュを打ち込まれる。

悪戦苦闘しているうちに、早くも2セットを取られる。サーブをコーナーギリギリに打って、左右に振ろうにも、なんせ小学生。運動能力は抜群。おまけに動体視力も良さそうで、ブラフのサーブもことごとく見破られゲームセット。小学生M君は、全員にストレート勝ちで、C級へランクアップ。疲れました。

お店には画集、美術関係が入荷しました。写真は沢渡朔「少女アリス」(河出書房73年初版)ちょっと貴重ですが、当店のプライスは3000円です。(古書のネットでは5000円以上の売価です)

 

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「飛んだ!」ー「魔女の宅急便」でヒロインが箒に載って飛んだ瞬間に実況アナが叫ぶ台詞です。

宮崎駿は、もうこの言葉を動画で表現したくて、心血を捧げて来た作家というのが、私の宮崎観です。昨日、テレビで「風の谷のナウシカ」を放映していました。何度も観ましたが、やはりナウシカが大空へ飛び出す瞬間には、何度でも胸ときめきますね。翼を左右どちらかに傾け、一気に急降下する、急上昇する瞬間に、この人はすべてを注ぎ込んでいる。一気に変化する重力、温度の急激な降下まで感じる程までの一コマ一コマの緻密な動きには恐れ入ります。

本人は何も語らないけれども、この人はきっと空中戦映画が大好きだったと思う。私がアホみたいにくり返し観ている、第二次大戦のドイツとイギリスの空中戦を描いた「空軍大戦略」。ファーストシーンはドイツの輸送機が、ゆっくりとしたカーブを描いて降下していくシーンで始まり、もう後は華麗な空中戦のオンパレード。「ナウシカ」を観ていると、この映画が観たくなる程に、描写が似ている。宮崎は後年、自分の飛行機好きが高じて、「紅の豚」を作った。こういう趣味性で映画を作ってしまったことに対して、自己批判をしていたが、「飛んだ」という高揚感を味わえる希有な映画であるのは間違いない。

私にとって、宮崎映画は、その時代に対する洞察力や、思いとは別に「飛んだ!」という高揚感の味わえる映画がベストです。「ナウシカ」、「トトロ」、「魔女の宅急便」そして「紅の豚」の飛ぶシーンこそがすべてで、残念ながら、そういう高揚感のない「千と千尋」以降の宮崎はお呼びじゃなくなりました。

ところで、店にある「風の帰る場所」という12年間にわたるインタビュー集はぜひお読み下さい。スリリング極まりないインタビューです。(ロッキンオン900円)

 

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先斗町へは、毎日行く。

と言っても、飲みに行くわけではない。愛犬の散歩です。どういう訳か、愛犬マロンは鴨川よりも、先斗町がお好きで、朝の散歩はここと決めている。(別に花街の生まれではないんですが)朝7時ごろの先斗町といのは、一言では表現できない表情です。喧噪の後の寂しさというべきか、酔いどれ男や、女たちの笑い声や、泣き声の残響というべきか、はたまた男と女の欲望の捨て場の臭いというべきか、とにかく独特の雰囲気です。愛犬は、その横町、あの横町に行きつ、戻りつ散策します。

私が、この街に初めて足を踏み入れたのは30年ほど前。この近辺で小さなレコードショップをしていて、お客さんにディスコ関係者や飲み屋さんが多く、お買い上げのレコード代金の集金のため開店前のお店や事務所に訪れた時でした。絵に書いたように厚化粧のママからお代金を頂戴していました。お店は真っ暗、事務所にママさんと二人で数十分いると、やば〜い、という気分になります。逆に開店前のバーに集金に行くと、若いバーテンさんが一心不乱にグラスを磨いている場に出くわします。あれっ、北方謙三の小説に出てきそうな感じでした。そう言えば、バーボンウイスキーの飲み方を教えてくれたのは彼の小説でしたね。気障なハードボイルド小説に酔ってた時代もありましたが、10編の短編を収録した「棒の哀しみ」(新潮社200円)に登場するやくざの自堕落で空虚な生き方は良かったです。これを日活ロマンポルノの名手柛代辰巳監督が奥田瑛二で映画化したのも、気だるさ満点の映画でした。

朝の眩しさと、夜の気だるさが微妙にブレンドした先斗町をリズミカルな動きで散歩する愛犬は、さてさて何を感じているのやら?

 

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 最近ウェルメイドな映画を三本観ました。
「スーパーチューズデイ」、「マネーボール」、「阪急沿線」の三本。最初の一本以外はDVDで観ました。すべて、ウェルメイドな映画でした。
ところで、ウェルメイドってどういう事なん?と思われる方に簡単にお話しますと、上映時間が2時間+10分程度、大げさなドンパチがない、出演者がめったやたらと泣きわめかない、お話はしっかりしている、そしてキャラクターに親近感がある、という事です。

私が映画に夢中だった70年代から90年代あたりまでは、アメリカ映画はそんな映画の宝庫でした。だから、今でも私の映画体内リズムはそんなウェルメイドリズムです。それを、立て続けに観ることが出来ました。ジョージ・クルーニーの「スーパーチューズデイ」は「大統領の陰謀」を頂点とする政治サスペンス映画の香りプンプンの映画でしたし、もう「マネーボール」はこれ以上の野球映画の傑作はない!と思えるぐらい、でも極めてオーソドックスな、映画らしい映画でした。そして、有川浩の原作の良さを保ちながら、古典的グランドオペラ形式の映画の楽しさを味わうことができる「阪急沿線」。

映画だけじゃなく、小説にもそれを求めてしまいます。森絵都「宇宙のみなしご」、(94年講談社 500円)堀江敏幸「未見坂」(08年新潮社 800円)、庄野潤三「貝がらと海の音」(96年新潮社 500円)、池澤夏樹「骨は珊瑚、眼は真珠」(98年文春文庫 300円)とか思い出します。大作でもなく、問題作でもない、表現技術に新しい感覚が盛りだくさんというスタイルの小説でもない。泣かさない、怒らさない、考え込まさない。しかし、その小説の一部が心の深い所に留まり続ける、そんな本がいいいいですね。

映画「阪急沿線」ラスト、色々生きる事でドタバタしたヒロイン二人の台詞はこうでした。「ねぇ、悪くないわね」。
生きるって悪くないわねと軽くステップを踏ませてくれるような本に、映画に、音楽に、私の最高の褒め言葉は、やはり「悪くないね」です。

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