本について語った本を探すのも、こういう古本市では楽しいものです。今回も沢山出ています。

恵文社一乗寺店長の堀部篤史さんが書いた「本を開いて、あの頃へ」(サンクチュアリ出版500円)は、彼が愛読した本の紹介がメインの内容ですが、読書への偏愛や、読書法まで語った一冊です。内外の文学は言うに及ばず、漫画、雑誌まで幅広く取り上げられています。2009年2月に休刊した「京阪神エルマガジン」が取り上げられていますが、ライブや、映画情報にいっぱい印をつけて、街に飛び出した記憶が鮮明に甦りました

一箱古本市の生みの親とでも言うべき南陀楼綾繁の「ほんほん本の旅あるき」(産業編集センター900円)は、今年5月発売のまだ新刊台に乗っている本ですが、古書として出されています。日本全国、面白い本を探して巡り歩いた記録をまとめた労作です。彼の文章は、旅に出たいなぁ〜とつくづく思わせてくれます。

装丁家、鈴木成一が自ら装丁を語った「鈴木成一装丁を語る」(イーストプレス800円)は発想、思考法等を、自ら担当した120冊を選び出し、解説した本です。奥田英明、吉田修一、桜庭一樹、東野圭吾等の人気作家の装丁をテキストに、いかに「演出」したか。装丁家を目指す貴方は必ず読まねばなりません。

コミック関連で、夜久弘「COMICばくとつげ義春」(福武書店1000円)は、84年から87年までの4年間に15号刊行された季刊誌に、つげが毎回作品を書いていた時代を振り返った一冊です。著者はその本を立ち上げた人物で、いかにしてこの雑誌を軌道にのせたか、その苦労話と、熱気に溢れた時代を語ってくれます。

そしてコミックがらみでは、山口昌男の漫画論集「のらくらはわれらの同時代」(立風書房800円)。白土三平、畑中純、杉浦日向子、萩尾望都等の漫画家との対談も掲載されています。古谷三敏「減点パパ」を論じる一方で、海外の翻訳コミック、例えばウィンザー・マッケイ「夢の国のリトル・モモ」を論じてみたり、児童文学者のモーリス・センダックの世界に踏み込んだりと、自由に闊歩しているところが楽しい一冊です。

 

もう一点、朴順梨「離島の本屋」(ここから800円)。礼文島から与那国島まで島にある本屋22軒をルポルタージュした傑作です。島の風情を味わいながら、旅する気持ちで島々の本屋さんをめぐるというステキな本です。「男はつらいよ」の寅さんが、「よう、おばちゃん、儲かってるかい?」とヒョイと顔を出しそうな書店ばかりです。