Goldmundの “AlL Will Prosper”(輸入CD1650円)のジャケットは、西部開拓時代のむさ苦しい男たちがテントの前に並んでる写真。中を開けても、解説もなけりゃ、ミュージシャンの紹介もないという、今時珍しいCDです。ウィキペディアによるとキース・ケニフという音楽家がやっているバンドの名前らしいです。

一言で言えば、ワイオミング、テネシー、テキサスの大草原を吹き抜ける風を感じます。これらのアメリカの都市に行った経験はありませんが、真っ青な空と、一面に広がるトウモロコシ畑を通過してゆく心地よい風のような音楽です。ギターとピアノだけで演奏されているのは、アメリカンスタンダードとも言えるもので、「アメイジンググレイス」「テキサスの黄色いバラ」「シェナンドー」など、あれ?どこかで聞いた曲ばかりです。オリジナルの英語タイトルしか記載されていないので、日本タイトルがわかりませんが、あぁ〜懐かしいとノスタルジックな気分へと誘われること間違いなしです。ゆっくりと、長い時間をかけて歌われ、演奏されてきたトラディッショナルな曲が持っている詩情を、ポツリ、ポツリと囁くように演奏したアルバムですね。

もう一人、ご紹介します。マンドリン奏者のデヴィッド・グリスマンです。

マンドリン、ギター、ベース、バイオリンに4人によるスインギーなサウンドです。彼はカントリーミュージック系の人物です。しかし、フランスのジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの名曲「マイナースィング」を演奏しているからでしょうか、これはヨーロッパに匂いがしてきます。それも、どちらかといえば北欧系。短い夏の日。森の中でみんなと楽しむランチの後ろで奏でられる楽しさと哀愁に満ちた音楽です。”Hot Dawg”というタイトルのアルバムは、ジャケットも素敵です。(輸入盤1400円)

どちらも、名作とか名盤ではありませんが、聴く人の気持ちを和らげてくれる音楽です。大文字山のてっぺんで、京都市内を見ながら、風に吹かれて聴いていたいな〜。