この時期、映画ファンとしてはやはりアカデミー賞が気になります。以前知人のアメリカ人から「ウエストコーストのお祭りね」としらけ気味に言われたことや、昨今のハリウッドの落ち目を目の当たりにしていると興ざめしたりしますが、やはりファンとしては疼きますね。

一番注目するのは、助演男優、助演女優賞です。毎年この賞にノミネートされる役者は演技巧者が並びます。

かつて、カーソン・マッカラーズ原作の「心は孤独な狩人」を映画化した68年作品「愛すれど心さびしく」でノミネートされたアラン・アーキン。たまたま、この作品は「日曜洋画劇場」で放映され淀川さんが絶賛されていて、確かに心しみる映画でした。06年「リトル・ミスサンシャイン」の”なんも怖いもんなしのじいちゃん”役で同賞受賞。今回「アルゴ」で再ノミネートされました。渋い役、コミカルな役と変幻自在に変わりながら、ハートウォーミングな人物像のできる数少ない役者です。

もう一人、クリストフ・ワルツも期待です。タランティーノ作品「イングロリアス・バスターズ」の狡猾なナチ将校役で受賞、今回もやはりタランティーノ作品「ジャンゴ」でノミネートされました。この人は、前に、ほとんど舞台劇みたいな作品「大人のけんか」で、24時間携帯電話離せない会社役員役がもう見事で、いかにもアメリカ的なエスタブリッシュメントをシニカルに演じていて、笑ってしまいました。こちらは90分足らずの作品ですが、お薦めです。

この二人には同時受賞して欲しいのですが、もう一人フィリップ・シーモア・ホフマンという怪優がいました。主演も助演もOK。どんな役でもこなします。その彼が今回、新興宗教の教祖を演じる「ザ・マスター」でノミネートされています。あのT・カポーティ役を演じた「カポーティ」の、まぁ〜そっくりぶりには唖然とさせられましたが、今回もそうさせてくれることでしょう。因みに「ダウト」で、メリル・ストリープ相手に同性愛的牧師を演じ、メリルに対して一歩も引き下がりませんでした。

ところで、この「ザ・マスター」からは主演男優ホアキン・フェニックスと共に、助演女優賞としてエイミー・アダムスもノミネートされています。イーストウッドの「人生の特等席」で娘役を演じた彼女が、今回の新興宗教を巡るドラマでどんな役を演じているか興味津々です。ハリウッド的ではない作品ですが、観てみたい!と思わせる映画です。

この助演賞にノミネートされている役者が出ていて、大作ではない作品は割と質の高い映画が多いと思います。アカデミー賞観て、地味な作品探すというのも楽しみ方の一つですね。

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これ、何の写真かわかります?映画「グレートレース」の演出で監督ブレイク・エドワーズが主演女優ナタリーウッドにパイを投げた瞬間です。左後方には、やはりパイを投げられた主演男優ジャック・レモンの顔も見えます。こんなハリウッド黄金時代のバックステージの写真ばかりを集めた写真集「ハリウッド・スペシャル」(宝島社1800円)の一場面です。女優も楽じゃないですね。

こちらは、「上流社会」撮影中に、客演のルイ・アームストロングが軽〜くペットを吹いたのを、おおいいねぇ、と見守るビング・クロスビーとグレース・ケリーを捉えたリラックスムード一杯の現場写真です。

という具合に、映画王国だったハリウッドの面白さ満載の一冊です。映画なんて知らなくても、役者のいろんな表情が見事にファインダーに捉えられていて、どれも人間臭く楽しめます。ツルツル頭がトレードマークのユル・ブリンナーが、黒髪ふさふさだった写真なんて、レアーですね。しかもその写真の横にあるキャプションが「失敗作『大海賊』出演中」というのも笑ってしまいます。

楽しいのは名だたる女優、男優が見せるリラックスした表情と、やっぱりトップクラスの役者のセンスは違うねという身のこなしはファッション誌をみているみたいです。「悲しみよこんにちわ」撮影中のこんなジーン・セバークのショットみたいに。

 

写真を撮影したボブ・ウィロビーは、ライフ、ブォーグ等の映画コーナー専門の写真家でした。ハリウッドを中心に100本以上の映画の現場に携わった人間にしか撮れないレポート集です

 

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現在上映中の「007  スカイフォール」見てきました。007シリーズを映画館で見るのは、初代ボンドのショーン・コネリーの「ダイアモンドは永遠に」以来ですから、実に30数年ぶり。東ドイツがなくなり、東欧共産圏そしてロシアが崩壊し、ネットで情報が入手できるこの時代に、ごそごそ動き回って情報を入手するアナログな007なんて活躍する場所などないと思っていました。しかし、こういう手があるんですね。

もう笑ってしまうばかりの奇想天外、ど派手なアクションはオープニングの10分間ぐらい。かつてのシリーズなら、本編とは無関係の小ねたで観客にサービスしていましたが、それもなし。本編に繋がっていきます。あまり表に登場してこない007の上司Mが今回は大きな比重を占めています。演じるは、イギリスを代表する名女優、ジュディ・ディンチ。完成度の高いスパイ小説に登場する非情な上司を演じてくれます。そうでなくっちゃ!と、それだけで安心して見ていられます。長い台詞こそないものの、鋭利な刃物で相手を突き刺すような台詞回しと、クールな表情は、どか〜ん、ぼっか〜んの爆破シーンだけの空疎なハリウッドアクション大作に比べてよっぽど見応えがあります。

 後半、舞台は007の生まれ故郷スコットランドの荒涼たる原野に取り残された彼の生家に場所を移します。冷たい風が吹き付ける荒野で展開されるアクションは、良質のサスペンス小説を読んでいる気分です。また、ごつごつした、極めてストイックなアクションに、当代の007役ダニエル・クレイグはぴったりとハマります。ストイックと言えば、ショーンコネリー時代から、ボンドガールとのお約束の”ねっとりした”ベッドシーンはほとんど排除。ひたすら走る、拳を突き出す、撃つの三拍子です。英国伝統のスパイもの「寒い国から帰ったスパイ」に代表される凍り付くような寒さを感じさせる作品です。

本作を監督したのはサム・メンデス。舞台監督から転身、「アメリカン・ビューティ」「レボリューショナリー・ロード」でアメリカの都市生活者の幻滅を描き出し、一方渋いギャング映画「ロード・トゥー・パーテーション」を演出した、今かなり信頼出来る監督。007も過去の作品に捕われることなく、俺なら007はこうだと直球勝負。いや、お見事でした。

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これ、川本三郎の著書のタイトルです。雑誌「新潮」に連載されていたものを一冊の文庫本にまとめて岩波書店から出版されました。先日、府立図書館で借りてきました。新潮社版は近日店に入荷予定です。

序にこう書かれてあります

「東京の郊外住宅地とは『ノンちゃん雲に乗る』に描かれたように『小市民のささやかな幸福』が夢見られ、生まれ、壊され、そして新たに夢見られと、夢の死と再生が繰返されていった場所なのである。」

そして、著者は各地域別に、その地域に縁のある文学作品をテキストにして論じてゆく。私が好きだったのは「郊外に想いあり 庄野潤三」論でした。庄野は96年に出した「貝がらと海の音」を皮切りに一連の小説で郊外に住む老夫婦の家庭を描きます。「小市民的」「プチブル的」と否定的な言葉が飛んできそうな時代に、「家庭の幸せ」だけを描き続けます。正月に家族が集まり、誕生日を祝い、孫の運動会を見て、墓参り。こうした「行事」の反芻で、家庭の幸せは確乎たるものになる。しかし、一方そんな幸せは永遠に続かないから、淋しさが漂い、無常観が生じる。

これ、誰かに似てませんか?そう、戦後の小津安二郎の映画です。庄野の作品は一つ、二つしか読んでなかったのでこれから精力的に読んでみようかと思います。ところで、先日のブログでご紹介した小津の「東京物語」をベースにした「東京家族」に妻夫木聡が出ていましたが、彼は川本作品のベスト1(と私は思っています)の「マイバックページ」でも主演をやっていました。「東京家族」でも「マイバックページ」でも、見事な泣き顔を見せます。嗚咽する瞬間が上手いというのか、こちらも思わず泣かされます。

「マイバックページ」のラストの大泣きは、原作には存在しません。見事、映画が原作を超えて、映画オリジナルの世界を作りました。監督は山下敦弘。芥川賞受賞作の西村健太「苦役列車」、くらもちふさこの漫画「天然コケッコー」も映画化してます。原作ものを、巧みに料理して自分のものにする監督です。

 

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本に関するミニプレス「BOOK5」(500円)最新号が入荷いたしました。特集は「名画座」です。岡崎武志さんが自分のブログで紹介されていましたが、いやぁ〜面白かったです。

若い女性4人の「若草会座談会」は、名画座に邦画を追っかけているマイナーな女性達の放談会ですが、「黒澤明なんて見てない」なんて笑ってしまいます。かと思えば朝から晩まで鶴田浩二の映画見まくっている女性は、多分アナタだけですよ。(鶴田が出ている「大奥絵巻」ってどんな映画だ?)

その後も名画座通いの楽しい記事が続きます。別に映画のこと知らなくても十分楽しめます。例えば、左岸洋子さんの「映写の仕方、おしえます」。本屋さんか、映画館で働けたらいいなぁ〜と軽いノリで上京した洋子さんは名画座での仕事をゲット。しかし、事務のお仕事ではなく、映写のお手伝いでした。スパルタで映写技師から業務を教わり、一人でやることに。寺山修司の「書を捨てよ町へでよう」の上映中、フィルムが燃え出した話や、誰も入場者のない時、自分で映写して観るという貸切映画館の話など、まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿させます。

もちろん映画の話だけでなく、本の話題も満載です。今回より始まった「せどりしょうZ!」で、小山清の「日々の麺麭」(講談社学芸文庫)が高値で取引されていることが書かれていましたが、レティシア書房にもありました。さすがに目の高い常連さんが見つけられて、お〜(安い!!)という価格でお売りしました。

「BOOK5」はバックナンバーも常備しています。

 

 

◉「女子の古本市」に多くのお客様にご来店いただきありがとうございます。追加納品も決まりました。後半にかけてまた新しい本が入荷します。ご期待ください!

◉明日は「はちはち」のパンの日です。4時過ぎから販売します。

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快挙か、暴挙か、身のほどをわきまえぬ不埒者の仕業か??? 山田洋次監督は、小津安二郎の「東京物語」をベースにした「東京家族」を作りました。世界中の映画の中でベスト1に選ばれた映画をですぞ。しかも、若い時、小津の映画を「へのような映画」と酷評していたのに。まかり間違えば、もうぼろくそ言われること間違いなしの映画製作です。で、結果はご立派の一言です。

お話は「東京物語」と同じように進行していきます。導入部とラストは台詞、登場人物の立ち位置までほぼ一緒。では、この映画が「東京物語」のコピーかと言えば、きっちりと山田洋次の映画になっています。ご承知のように、この映画クランクイン直前に震災と原発事故が起こり、製作を中断、脚本を作り直しをしています。でも、震災の事が大きく挿入されているわけではなく、背景として巧みに生かされています。「家族」「同胞」に顕著なように、山田監督は、その時代の断片を見事に切り取ってきました。

そして、あ〜山田洋次の作品だなぁ、と思わせるシーンがありました。母親が死んだ病室に駆けつけた次男とその婚約者。彼女は母親とは前日に会い、意気投合していましたが、その他の家族とは病室で初対面でした。次男が連れてきたわけを知った兄が、その場から立ち去ろうとする彼女に向かってこう言います。

「あんたは、ここにいていいんだ」

彼女を家族の一員に迎え入れる象徴的シーンです。小津の映画ではこうはなりません。彼の映画って乱暴な言い方すれば、人が死のうが、娘が嫁にいこうが、時間は流れてゆくというものです。でも、山田作品は、逆にどんなに冷酷に時が流れようとも、人は結びつくというものです。小津の世界とは真っ向勝負しつつ、限りない愛情を手向けようとした映画でした。多分、誰にもマネのできない難易度の高い離れ業です。

ところで、蒼井優って、こんなに原節子に似てました?年に一度は「東京物語」を観ることを大切な行事にしている私には、まるで原さんがそこにいるみたいでした。ちょっと笑った時の表情の目線なんて、そっくりでした。ここまで似せているのが演技なら、将来楽しみな女性です。店には原節子の本「あるがままに生きて」(朝日文庫)、「原節子のすべて」(DVDで幻の映画「七色の花」ついてます)があります。

 

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先日、映画監督の大島渚が亡くなりました。一作ごとに切り込んで来るテーマも、映画手法も違うので新作が最高作という監督でした。遺作の「御法度」のラストでビートたけし扮する近藤勇が、ズバッと桜の木を切り倒す凄みを見ていると、私はこれがベスト1の映画だと思います。でも、どこかで彼の映画が再上映されるなら「儀式」、「日本春歌考」、「忍者武芸帳」などはもう一度観てみたいものです。店には一冊だけ大島の本があります。評論集「解体と噴出」(1200円)です。

ところで、松竹ヌーベルバーグ時代の彼の作品も含めて、ありとあらゆる日本映画を教えてくれたのは、一乗寺にあった今はなき「京一会館」でした。恵文社の向かいにあった古い映画館です。高校時代、初めてオールナイト映画を経験したのもこの劇場でした。高倉健主演「唐獅子牡丹」4本立て。学園紛争が熾烈を極めた時代、前列にはヘルメット姿の学生運動家達が座っていました。健さんと相棒役の池辺良が殴り込みにゆくシーンになると、拍手と掛け声の異様な雰囲気で、その学生達の茶番じみた振る舞いに引いてしまいましたが、今となっては彼らの心情も理解できます。

この劇場は日本映画しか上映しませんでした。一般映画以外にも、日活ロマンポルノやピンク映画を連続上映、それも女優別にとか、監督別とかユニークな企画でした。宮下順子も谷ナオミもここで知りました。さすがに、3本連続してこの手合いの映画を見て、太陽の眩しい外に出て来ると、昼間から何やってんだろう、と重たい気分になったものです。

当時、京都駅前に住んでいたので、この劇場に行くには市バスしかありません。小一時間かかるバスに乗って通いました。そんなある冬の日曜日、黒木和雄監督の「龍馬暗殺」に出会いました。原田芳雄、松田優作、桃井かおりによる全く新しい時代劇で、もう出口なしの青春映画でした。観終わった後の衝撃をどうする事も出来ずに、震えながら雪の降るバス停でひたすらバスを待っていたことが忘れられません。

秋吉久美子という女優の魅力に出会ったのもこの劇場。藤田敏八監督の一連のけだるい日活青春映画を、老朽化した映画館で、煙草スパスパ(たしか禁煙の筈でしたが……)で観るのは後ろ向きな快感でした。面白いことに、この劇場を出る時は、何故かうつむいて出ることが多いのです。顔を上げてあんまり元気一杯で歩くより、うつむき加減でちょっと暗めがいいよ、とでもこの劇場は言っていたのでしょうか。

今でこそ、一乗寺界隈はオシャレなお店も増えましたが、当時は、フツーの商店が並ぶ平凡な街でした。けれど、その雰囲気が下を向いて歩くには最適でした。その後、京一会館の教え通り、うつむき加減に楽な方へ、楽な方へと生きてまいりました。それが、私には大正解だったと信じています。

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1959年に放映開始されたTV番組「兼高かおる世界の旅」のオープニング。PANAMのジェット機の美しい飛行姿が登場します。その時から、私は飛行機オタクに陥りました。スッチーも含めて?民間機、軍用機の写真、模型を集めましたし、飛行機が出る映画は、もうどこまでも追っかけました。さすがに、「エマニエル夫人」で飛行機内で何する作品は観ませんでしたが。

このLP、ボサノバの第一人者アストラット・ジルベルトのベストアルバムです。中身は、フツーのベストです。ジャケットに写っている旅客機のためだけに購入したレコードです。尾翼の航空会社のロゴマークも素敵です。白黒写真と、赤い色合いのデザインがマッチして、ちょっと旅行気分を感じさてくれます。LP再生出来なくても、お部屋に置いておけば、いいディスプレイになりそうです。

 

こちらはジャズアルバムですが、タイトルは”MOVE”。そのものズバリのタイトルですね。3機のジェット戦闘機が急上昇する緊迫のワンカットを捉えた傑作写真です。爆音が聴こえてきそうです。そう言えば、小学校の時、TVで放映していた「頭上の敵機」に夢中になりました。オリジナルタイトルは”Twelve Oclock High”。「頭上」は「12時」と呼ぶんだということを知りました。

映画では、飛行場に行き交う人々の人間模様と飛行機爆破事件を交差させた「大空港」は、パターンの作りとはいえよくできていました。その後、この映画はシリーズ化されますが、情けないくらいつまらなくなっていきました。これ以降、飛行場の登場する映画もマストアイテムとなりました。ベスト1は、もちろん「ブリット」。最後のサンフランシスコ飛行場での追っかけ合いは映画史に残るものでしょう。蛇足ながら、初めて飛行機に乗ったのが、サンフランシスコ行きでした。初フライト、初海外。お〜この飛行場で、S・マックィーンは撮影したのかと思うと涙ものでした。

飛行機ものの本と言えば、サン=テグジュベリ「夜間飛行」ですね。リュック・エスタン著の「サン=テグジュベリの世界〜星と砂漠のはざまに〜」(岩波書店800円)という、彼の全作品からの引用を駆使しながら、彼の文学を読み解いた本はお薦めです。何点か、飛行士時代の写真もあり、飛行機マニアには要チェックです。そして、もう一人。「かもめのジョナサン」で大ブレイクしたリチャード・バックの「飛べ、銀色の世界へ」(草思社500円)。おんぼろ複葉機でアメリカを横断した体験をもとにしたこの本を経て、ヒッピームーブーメント時代のヤングジェネレーション必読の「ジョナサン」を発表しました。この本は、その複葉機の写真も収録されていて、その筋のファンにはマストでしょうね。

 

ところで、学生時代観ていた日活ロマンポルノで、機長とスッチーの絡み合いで、絶頂に達したスッチーが「月まで行ける」と叫ぶや、行ってしまう(CGなんてないんで、音だけ一応無重力風の演技までついてます)のに笑ってしまいました。

 

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我が家ののんき犬マロンの朝の散歩は、私の仕事。

夏は、犬も人間も太陽も早起きですが、このところ段々出発時刻が遅れ気味です。お正月4日も、変わりかけていた信号を渡ろうと「マロン行くで!」とダッシュ。

横断歩道の手前に交通標識が立っていて、ワタシは右、マロンは左にと、ポールをはさむ形で行ってしまいました。当然リードがそのポールにひっかかり、わっ!!と叫んだワタシの声にマロンが急に右回りになり、リードがぐるっとポールを巻き込み、その勢いで仰向けにひっくり返りました。

信号待ちしていた車は数台ではありましたが、びっくりしたと思います。こういう時って、恥ずかしさのあまり、すっと立ち上がるんですよね。その後、改めて打撲の事実を思い知ります。幸い頭は打たなかったので助かりましたが、何気ない顔で、次の青信号でわたり、おしっことウンチに急ぐマロンに引っ張られたら、左半身が痛い。

いつまでも若いと思ったらアカン。だいたい横着ですよね。

2〜3日後、今度は右手が上がらない。前に痛めたところです。せっかく治したのにね。

「今年も1年、気をつけや」という天の声と、年頭から反省しました。

転ぶと言えば、「マリーアントワネットに別れを告げて」(京都シネマ)の主人公シドニーが、よくヴェルサイユ宮殿の長い廊下でこけていました。あんな長いドレス着てたら、きっとみんな転けてたと思いますが、そんな場面はあまり見た事ない。親近感わきますね。この映画は、フランス革命で断頭台に送られた王妃のヴェルサイユ最後の3日間を、王妃の朗読係の若い女性から描く異色作です。マリーアントワネットが、息をして確かに生きていた、ってことを身近に感じました。

2日の宝塚「ベルバラ」に始まり、映画「レ・ミゼラブル」に圧倒され(私ミュージカルけっこう好きですが、この映画、キャストがよく、監督が乗りに乗っていて、ホント凄かった)、「マリーアントワネットに別れを告げて」で、すっかりそこで生活してしていたような気になり、という新年早々フランス革命三連ちゃんでした。(女房)

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私は、脈絡なく歌い、踊り出すミュージカルのファンです。40年代アメリカのミュージカルの名シーンを集めた「ザッツ・エンタテイメント」なんて、ビデオ→レーザーディスク→DVDBOXと集め、いまだに観ています。また、この時代のMGM製のミュージカル映画へのオマージュ一杯のフランス発のミュージカル「ロシュフォールの恋人たち」もDVDBOXまで揃え、サントラはCDに始まり、オリジナルフランス盤のレコード(高かった)まで買いあさり、密かに楽しんでいます。

しかし、物語に重きを置いた作品、例えば「サウンド・オブ・ミュージック」なんかは、ご免なさいです。(最後まで観たことありません)だから、その手の作品はず〜っと敬遠してきました。けれど、大学時代に日本で公開された「ジーザス・クライスト・スーパースター」は脳天直撃でした。映画ならではの凝った演出もさることながら、黒人の演じるユダと、ヒッピーカルチャーの体現者みたいなイエスの二人の友情と裏切り、そしてちょっとホモセクショナルな愛情関係までの描き方に力がありました。ラスト、蘇ったユダが、昇天するイエスに向かって、お前はスーパスターになるつもりだったか、お前は誰だ!と批判をぶつけるシーンは圧巻でした。この映画に説得力があったのは、二人の役者のアップに本物の迫力があったからです。人としての弱み、哀しみまで見事にカメラは捉えています。大事なのは説得力です。

そして「レ・ミゼラブル」。いや〜映画の王道です。ミュージカル映画なのに、のっけから圧巻のCG画面。骨太な物語を嘘っぽくしないために、監督は口パクで、歌を後から付けることをせず、その場で歌わせ、それを収録するこに徹したそうです。巧みに動くカメラが、正面から、サイドから、或は、頭上から役者を捉えます。俳優達は疾風怒濤の登場人物たちの人生の悲劇を、一つ一つの表情に、歌に託します。その説得力。「人間をまるごと描く」ことが映画の王道とするならば、この作品はその仕事を完璧に遂行しています。その役者の内在している力と、歌い出される言葉がシンクロして感動を与えてくれます。2時間40分。映画は力強く人間を描いていきます。ぜひ、大きなスクリーンで体験してください。

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