「70年代は本当に面白かったですから。何もかもが混沌としていて、刺激的だった。それはあの時代にしかなかったものだったと思います」

これは雑誌「SWITCH 70’VIBRATION YOKOHAMA SPECIAL ISSUE」(DVD付き1300円)でのユーミンの言葉です。

1969年、東大安田講堂に籠っていた全共闘の学生達が、機動隊との攻防の末、陥落したことでラジカルな時代は幕を閉じます。70年、大阪万博開催で明るく豊かな国ニッポンが躍り出ます。もちろん、一方では三島由紀夫の割腹自決事件や、よど号ハイジャック事件、その後の浅間山荘事件等々、悲惨な出来事が多くあります。あ、パンダ初来日もこの時代でしたね。ユーミンが言う「混沌」とした「刺激的」な時代だったと、同い年の私は同感です。

71年、イギリスから超甘酸っぱい映画「小さな恋のメロディー」がやって来て、私ら男子は涙し、72年情報誌「ぴあ」創刊。これを片手に、音楽情報や映画情報を収集していました。74年ユーミンが「MISSILIM」でデビュー。時代はオシャレ満開へとなります。資生堂等の大手化粧品会社が、大々的なプロモーションを展開したのもこの頃でした。

とはいえ70年代は、まだどこかに60年代の影を引きずりながら、新しいものを生み出そうとしていたように思います。個人的にも、大江健三郎が60年代末に発表した「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」(新潮社・初版900円)を、読んだ気になったり、辻邦生の「北の岬」「背教者ユリアヌス」に夢中になったりと、古いものと、新しいものが混沌としていました。

そして、79年村上春樹が「風の歌を聴け」でセンセーショナルにデビュー。素敵な小説だなとは思いましたが、なんか違和感もありました。

もう過ぎ去ったあの頃のことを、この「SWITCH」をパラパラめくっていて、少しずつ思いだしました。

この特別号には、細野晴臣「ハリー細野&TIN PAN ALLEY IN CHINATOWN」という76年の幻のライブから3曲がDVDに収録されています。レアーな映像で、音楽ファンには必見です。