「パーフェクト・ドライバー」は、カッコいい!強い!と言うしかないヒロインの映画でした。主演は、数年前に大ヒットした韓国映画「パラサイト半地下の家族」に家族の一員として出ていたパク・ソダム。

車両整備や販売を手がける小さな会社に勤めるウナ(パク・ソダム)は、指定の場所へ時間通りに、人でも物でも運ぶ「特送」ドライバーです。大金を隠した金庫の鍵を、父親から託された少年ソウォンを車に乗せたことから、闇の組織に追いかけ回され、車をとっかえひっかえしながら、逃げ回る破目に。

見せ場はもちろん、カーチェイス。映画冒頭の30分は、これ以上のカーチェイスシーンはない程のスリルです。アクセルを踏み込んだ時のウナの表情が、カッコいい。アメリカ映画だと、派手な衝突やら大爆発など、これでもかこれでもかと物量で迫ってくるのですが、こちらは狭い路地や駐車場などを舞台に、切れ味最高のカーアクションを見せてくれます。さらに、追っ手から逃げるために、咄嗟にウナが繰り出すサバイバル技術を随所で見せてくれます。

あ!これはあの映画のパクリだ、というシーンが沢山出てきます。少年との絆の話は、名作「グロリア」や、少女と暗殺者の逃避行を扱った「レオン」を彷彿とさせます。悪徳警官やら国家の情報機関が登場するお話も、定石通りです。どんどんパクって、結果的に魅力的なオリジナルを作ってゆくという韓国映画人の心意気に、拍手!

いかにも強い女という印象からほど遠いようなパク・ソダムが、ハンドルを握った途端に見せるクールビューティな姿を見逃さないでください。

あっという間の1時間50分です。