ミニプレス「よあけのたび」の、第2号発刊を記念して、「Have a wonderful morning 」と題した展示が今日から始まりました。

「よあけのたび」は、主に京都(他に鎌倉、尾道)のカフェなどの朝ごはん巡りが、エッセイと写真と楽しいイラストマップで書かれています。著者はまごさん。1000件以上のモーニング巡りをした朝型人間だそうで、朝の魅力を発信し続けています。早朝街を散歩していて、ふと気になったカフェに立ち寄りモーニングを注文する。まごさんは、店の佇まい、ドアを押して入った印象や、その時の気分を丁寧に綴っていきます。コーヒーの匂いが立ち上ってきて、店主との静かな対話、食器の音などが聞こえてくるようです。すぐにでも食べたくなるような美味しそうなトーストやサンドウィッチ、これは危険な本です。

いつも市内のカフェの情報を携えてレティシア書房に立ち寄ってくださるIさんに、昨年まごさんのミニプレスを教えてもらい、その後何度も追加注文している人気のミニプレス(2021年5月30日の店長日誌で紹介)。京都に長く住んでいますが、カフェでモーニングという時間を持たないまま暮らしてきました。「よあけのたび」を手にしたら、これを体験しないのは人生の楽しみを半分損してたのではないかと焦ります。

「わたしにとって朝の時間は、たとえ近所でも、コーヒーとトーストというシンプルな食事でも、旅をしているときに感じる非日常のような特別な時間です。」と、「よあけのたび」の1号に書かれていました。そして待望の第2号。冒頭にはこう書かれています。

「なんでもない日が少し特別に思えるから、夜明けのたびにワクワクする。それは旅へ出る日のように。」小さな旅は、今こんな時期にこそ大切なものかもしれません。

今回の個展では、まごさんの作った張り子の狸と、 ミニチュアフードを手がけるBonchi Kyotoさんとの「たぬきの朝ごはん」というコラボ企画も!!これがメチャクチャ可愛い!!たぬきの朝ごはんに、時を忘れて見入ってしまうこと請け合いです。(張り子のたぬきは販売しています。)その他、朝の散歩に持っていきたいオリジナルマルシェバッグなども販売していますので手にとってご覧ください。

そしてさらに、「思い出の朝ごはんを描かせてください」というinstagramを通じての呼びかけに寄せてもらった文章とともに、まごさんのイラストが並んだ「思い出の朝絵ご飯」(写真左)という、盛り沢山の展示となりました。食欲の秋、まごさんの展覧会でお腹いっぱいになってください。(女房)

 

 

朝ごはん巡りミニエッセイ本「よあけのたび2」発刊記念展

『Have a wonderful morning 』は、11月16日(水)〜27日(日) 13:00〜19:00(最終日は18:00まで)月火定休日

 

文京建築会ユースは、東京建築士会・日本建築家協会の文京支部からなる「文京建築会」の若手有志団体として2011年に発足しました。その文京建築会ユースが、歴史的建造物などの記録保全・活用提案等の活動の中で、地域コミュニティ拠点として注目してきたのが銭湯でした。

京都もそうですが、文京区の銭湯もここ10年で半減し、数件しか残っていないそうです。解体される銭湯から、多くの道具や部品を回収したもののどう活用するか悩んでいました。

京都で行われた「京都銭湯芸術の祭りMOMOTARO二O一七」を視察したのがきっかけで、「祭り」の姿を借りて、銭湯を未来につなげようと企画。「銭湯山車巡行部」を立ち上げました。そして、2021年「令和三年度銭湯山車巡行」を行いました。本書はその公式記録集(1500円)です。

銭湯のあらゆる要素を一台の山車に詰め込む、という大胆な発想で、ユニークな山車を製作。そのプロセスも事細かに収められています。閉業した銭湯の写真と、その部品をどう活用していったかを見ることができます。出来上がった山車が表紙に使われていますが、立派な破風と下足箱が組み合わされ、タイル張りの水回りもついた楽しいフォルムは、可愛らしく、堂々としています。巡行を見たかったな、きっと大きな拍手を送ったことでしょう。

「祭礼における『山車』は、伝統文化や誇りを具現化し、精神を受け継ぐ依り代で、各地域の工芸技術の粋を集め永く継承するものでもある。今回の『銭湯山車』でも、東京の銭湯が培ってきた文化を建築や彫刻の要素も含めて色濃く再現することで、銭湯の『粋』が後世に伝わっていくことを期している。」

編集・デザインを担当された内海さんが、一緒にフリーペーパー「みんなの藍染大通り」を持ってきてくれました。この通りで行われている歩行者天国50周年を記念して出されたものだそうですが、1972年に始まった歩行者天国が今も続いているとは驚きです。こちらの編集も内海さんで、町の再生、失われてゆく文化の復活に努力されています。(フリーペーパーは10部ぐらいしかありません。お早めに)

河田桟さんの「馬語手帳」(1320円)が店に入ってきたのは、いつ頃だったろうか。発行は2012年となっていますが、14年頃から販売していると思います。「馬語手帳」って、そんなの誰が買うの?と思った私が浅はかでした。初回入荷以降、今も売れ続けています!

本の奥付を見ると、37回も重版しています。ミニプレスでこの回数はあり得ない!置いている店も限られていると思うと、どこでもロングセラーになっていることがわかります。その後「はしっこに、馬といる」(2015年)、「くらやみに馬といる」(2019年)を出して、3冊とも人気です。

著者は、編集者として活躍していましたが、2009年、馬と暮らすために与那国島に移住しました。そこでカディブックスという出版社を立ち上げました。馬と話すなんて、ドリトル先生みたいですが、愛情を持ってよく観察して、付き合うことでウマとヒトの対話ができる、そのきっかけにしたいという願いから生まれました。

そして今回、大手児童書出版社の偕成社から「ウマと話すための7つのひみつ」(新刊1430円)から出ました。初のカラー絵本です!

「人は馬のことばがわかりません。ウマは人のことばがわかりません」でも、半分ぐらい馬のことばがわかる子供がいるのです。と著者は言います。そういう子どもは馬の様子をニコニコしながら見つめています。

「まるで、すてきな音楽を聞いているみたいに」

もし、あなたがそうなら、馬語を受信するアンテナがあるのかもしれません。だから、馬語の秘密を教えましょう、と物語は続いて行きます。一応、子供が主役ですが、大人だって構いません。

「馬語手帳」を読んで、ほっこりしたとか、リラックスできたとか、まるで違う時間が流れたよ、という感想を多く聞きました。この絵本にもそういう力が宿っていると思います。

「島には、ほぼ野生状態で生きる馬たちがいます。わたしの相棒となったカディも、もとは野生の生まれです。そうして自然のなかで馬の世界に入りこみ、長い時間をともに過ごすうちに、馬たちのユニークで豊かなコミュニケーションのありかたが見えてきました。しぐさひとつひとつの意味に気づくたび、わたしは驚き、笑いました。まるで馬から大切な秘密を教えてもらったみたいに感じたのです。」

と、あとがきに書かれています。おそらく都会の編集者としての多忙な生活で、本当の”豊かな気分”を失くしてしまっていたのではないでしょうか。そして、もうちょっと楽になろうよと現れたのが馬だったのです。

煮詰まったり、気分が下向きになったり、余裕が無くなったときに、ページを開いてみてください。

 

毎号楽しみにしている帯広発の雑誌「スロウ」(990円)。最新号の特集は「巡る道具、巡る記憶」です。

帯広にある骨董屋「グリーン商会」。数万点の在庫を誇る古道具屋さんで、店内の写真を見ているだけで行ってみたくなります。古いタイプの電灯や、地球儀など、どれも良さそうな雰囲気です。

次に登場するのは、廃校舎を直しながら古道具のリサイクルショップを十八年続けているその名も「豆電球」というお店。おっ〜と驚いたのは、特大のビクターの犬です。当店にも二体ありますが、比較にはなりません。デカい。ちょっともの寂しげば表情がぐっとくるところです。店の奥には、レコードプレイヤーも見えて、もうワンダーランド。一度入店したら一日中遊べそう。ここを経営されている宮口さんご夫婦は、ご高齢のために後継者を探しておられるとか。2022年9月現在、まだ候補者は現れていないそうですが、この濃密な空間をなんとか次世代に引き継いでもらいたいものです。

知床斜里町にある旧役場庁舎(旧図書館)。74年間使われことなく眠っていたこの場所が、「おもいでうろうろプロジェクト」という名前の企画で蘇りました。「おもいでおあずかりします」の言葉通り、タンスの奥に眠っていたような物を受け入れて、図書館に展示するという企画です。

「昔の斜里にまつわる本や地図から、どうしても片付けられない思い出の品、みんなに見せたい宝物まで、かたちのない思い出、地域の人々の声。行き場がなく、『うろうろ』しているそれらを、図書館としての記憶も持つこの建物の空っぽの本棚に集めたい」という言葉通り、面白いものが集まっています。忘れ去られたような旧役場庁舎の外観もこの企画にぴったりです。イベントの実行委員長・川村喜一さんは、写真集「 UPASKUMA-アイヌ犬・ウパシと知床の暮らし」(売切れ)の著者です。先月斜里町へ行った時、知床自然センターでお会いしたばかりでした。知っている人が出ていると嬉しいですね。

最新号は、他にも興味深い記事や素敵な写真で一杯です。人里離れた峠道にある一軒の古民家に若い女性たちが集まり、それぞれ個性的な店を出している「カミヤクモ321」。カフェや、マフィン専門店、ウィスキーを飲みながらボードゲームが楽しめる店、木彫り熊と本を売る店などが入居しています。今度、北海道に行くときはぜひ寄ってみたいものです。

 

大阪発のミニプレス「IN/SECTS」(1870円)最新15号の特集は「家事」です。

「そもそも家事ってどういうもの?という疑問をもとに、もっと広義に、家で行うことで全て=家事と拾え直し、建築家、料理家、写真家、映画監督、漫画家、店主、商売人、主婦、子どもなどなどさまざまな職業や立場の人たちと考えてみた。 そうすることで内向きなりがちな行為がむしろ四方八面へと無限の広がりを感じさせてくれるのでは?と。」

ということから作られた一冊だけあって、ユニークな企画が並んでいます。例えば「職✖️家事」。家事と職業は切り離された関係だと思いがちですが、うまい具合に職の一部に取り込んでいる5人が紹介されています。

料理家・文筆家の高山なおみ、映画監督の今泉力哉、写真家の平野愛、建築家の家成俊勝、漫画家のスケラッコとお馴染みの面々が並んでいます。

スケラッコさん曰く「家事があまり好きではないとは言え、やっていないと日常的な出来事を漫画に描く時には現実感が出なくなってしまうので、作品には活きていると思いたいです。全く家事をしないような生活だったら、描く内容も今とは違ってくる気がします。自分の作品を描くにあたっては、家事も大事かな、と。」

「教えて!お宅の家事分担」では、「誠光社」の堀部夫妻が登場。育児について堀部篤史さんは「自分達2人だけじゃない環境を作ることは優先的に考えるってことかな。だから、(経済的に)楽とはいわないけど、今の環境はいいと思います。」と語っています。お店に行った時に、時々お嬢さんにも会いますが、いつもなんか楽しそうです。

「家事」の本というと、ハウツーもの、もしくは、お固いものになりそうですが、これは面白い。

もう一冊同社の本をご紹介します。「(保存版)いいお店のつくり方」(新刊/2200円)。もともと「IN/SECTS」の過去の号で「いいお店のつくり方」として何度か特集したもので、そこで取り上げられたお店を、2022年に再度取材し、いい店の「いい」をひもときます。

選ばれたお店は、書店、飲み屋、銭湯、レコードショップ、カフェ、フランス料理店など17店が登場します。店主の開店までの道程や店への思いなどが語られていきます。

特別寄稿で吉本ばななが、「地上の天国」と題して、「いいお店は地上の天国だ」と書いています。そんな風にお客さんに言ってもらいたいものです。

 

 

 

 

大阪に本拠を置く IN/SECTS Magazine の出版物の取り扱いを始めました。毎回、ユニークな特集が面白い IN/SECTS Magazine、最新14号の特集は「言葉は楽しい」(1870円)。

「今号では、小説家、詩家、演出家、文化人類学者、音楽家、母親、父親、子ども、編集者、コラムニスト、グラフィックデザイナーなど、たくさんの方々と共に、改めて言葉について見つめ直してみました。 そこには、それぞれの言葉の塩梅があり、そこから見えてくることがきっとあります。」

ブックデザイナー矢萩多聞さんは「装丁と言葉」というテーマで参加されています。サブカル系でもないし、文学系でもないし、もちろん論壇誌系でもない、どんなジャンルにも属さない不思議な雑誌作りで愛読者も多く、前号の「NEW ‘BOOK SHOP’ CULTURE」特集(1870円)を買いました。

「新潮流・出版する書店」では、京都「誠光社」の堀部店長のインタビューがあったり、出版・流通・販売という一人三役をこなすH.A.B代表の松井さんの出版への思いも読むことができます。一度、行ってみたいと思っている鳥取の本屋「汽水空港」のことが載っていたので、この号を買ったのですが、後半に掲載されている「編集部が注目するBOOK SHOP」は、大手情報雑誌が企画するようなありきたりの本屋特集ではなく、そのチョイスのセンスの良さに唸ります。店の写真も載っているので楽しいです。

この出版社は雑誌だけでなく書籍も発行しています。注目は「MY FAVORITE ASIAN FOOD」(3630円)です。

「お店の一品でも家庭のご飯でも構いません。あなたのお気に入り、また思い出深い料理をイラストにしてください」という問いかけに応えた、作家60名の作品群。香りや味わい、食べ物を通した誰かとの思い出。食案内はもとより、パーソナルな記憶と作家の想像力を楽しむ1冊!

イラストであるところがミソです。スケラッコ、マメイケダ、などに混じって、世界中の旅した場所をイラストで書いたミニコミを出している小幡明さんが、倉敷にある中華料理店、廣珍の大麺を推薦されています。小幡さんは、以前当店で個展してもらったイラストレーターです。

「ところは倉敷市玉島……..父が子どもの頃からある中華屋さん[廣珍]。安くて美味、昔から小幡家の団欒には欠かせない店だ。」

という文章の横に描かれた、具沢山の麺は実に美味しそうです。この本は料理の本といよりは、様々な作家の作品集です。みているとお腹が減ってきました。

これからもこの出版社の刊行する本は定期的に取り扱っていきますので、よろしくお願いいたします!

 

 

✳️お待ちかね「町田尚子ネコカレンダー」を入荷しました。2022年度版は、猫たちがダンスを踊っています。フラメンコやフラダンス、タップダンスにチアーダンスと、相変わらず笑えます。  550円。限定販売ですのでお早めにどうぞ。

 

●私が担当の逸脱・暴走!の読書案内番組「フライデーブックナイト」(ZOOM有料)の3回目が、12月17日に決まりました。次回は「年の瀬の一冊」をテーマにワイワイガヤガヤやります。お問い合わせはCCオンラインアカデミーまでどうぞ。(どんな様子でやっているのか一部がyoutubeで見ることができます「フライデーブックナイト ー本屋の店長とブックトーク」で検索してください)

 

 

”けんちん”という人をご存知の方の方が少ないかもしれませんが、彼の名刺にはこんな単語が並んでいます。「銭湯電気保養協会」、「電気風呂鑑定士」、「#電気風呂パワー」。

はい、この人は電気風呂の研究家です。もともとは団地研究家でした。

彼は団地愛好仲間と共に2014年、「団地ブックス」という本を発行します。0号を開くと全国各地の団地と共に、京都市内の「UR壬生坊城団地」の写真が載っています。団地愛好者たちが集まって作ったマニアっぽい雑誌だけあって内容は濃いです。

2&3号合併号には、当店の近所で、最近無くなってしまった「公団御池通市街地住宅」に再会しました。日本の住宅文化を支えた団地の存在が様々な角度から検証されていて、装丁、中身ともにしっかりした本になっています。

その後、けんちん氏の興味は「電気風呂」へと向かいます。2017年ごろから各地の銭湯を訪ね歩き、資料を集めて出来上がったのが「旅する電浴」(1100円)、「電気風呂ご案内200」(1100円)、さらには「銭湯下足札コレクション」(880円)、「下足札」(880円)なども作りました。

色々な銭湯の下足札ナンバー「42」番が撮影されています。この数字は「死に」という言葉を連想するためで、誰も使いたがらないので容易に撮ることができたのだそうです。

ところで、電気風呂って何?と、生まれた時から自宅にお風呂のある人は疑問に思われるはず。著者が作ってきたポップによれば、「電気風呂とは、浴槽の湯に微弱な電流を流す装置を指す。関西において盛んに普及している。低周波電流により、身体に刺激を与え、肩こりや腰痛に効果があるとされている。」ということです。

この電気風呂、政府に認可されたのは昭和8年の船岡温泉(京都市北区)が第一号で、戦前から京都には電気風呂が存在していて今も多くの銭湯にはあるそうです。因みに京都市上京区の銭湯は全て電気風呂を完備しているそうです。

「旅する電浴」は、電気風呂を求めて北から南へと旅した記録で、全て写真入りで紹介し、それぞれの電気風呂の効能が書き添えられています。電気風呂愛200%の読み物ですね。

松山市の「新開温泉」には「電気風呂2席あり。石彫りで電気湯表記。サウナ→水風呂→電気風呂の無限極楽ループ完成!さっぱりぽかぽか」だとか。

けんちん氏は普通のサラリーマンで、純粋に趣味、いや研究対象として電気風呂を追いかけています。ひたすら好きなものを追求している人の面白さが滲み出たミニプレスです。

●8/25(水)〜9/5(日)待賢ブックセンター主催「処暑の古本市」開催します。

なお、勝手ながら29日(日)は臨時休業させていただきます。


●北海道のネイチャーガイド安藤誠さんのトークショーを今年も開催します。10月24日(日)19時スタート(2000円)要予約

 

 

 

 

 

 

 

 

九州から新しい雑誌「TRAVEL UNA」が到着しました。現在3号まで出ています。「UNA」って何?

創刊の挨拶からの文章を引用します。

「九州は、中国、朝鮮、東南アジアやヨーロッパとの長い交流を通して育まれた、独自の文化が息づいている土地です。

織物や陶磁器などの伝統的なものづくり、森と海の恵みを存分に受けた食べもの、バラエティに富んだ温泉地、独自の発展を遂げたキリスト教信仰……。

これらは九州の風土や歴史に根ざした、現代に生きる文化です。それらは私たちは敬意を込めて<native acumen>、その土地の叡智と呼びます。

united native acumenの頭文字を冠したTRAVEL UNA(ユーナ)は、毎号テーマを決めて九州の魅力を生み出すトラベルガイドです。」

1号は「ネイティブテキスタイルをめぐる旅」です。国内の繊維産地とデザイナーを結びつける仕事をされているファッションキューレーターの宮浦普哉さんが、九州の風土、歴史に根付いたテキスタイルの作り手を訪ね歩く特集です。

2号は、ズバリ「米」。田んぼ、ご飯、日本酒、スイーツ、クラフト、祭りなどおよそ米に関わることを総特集してあります。

「九州を『米』という視点から見てみたら、新しい姿が見えてくるのではないか。『米』という漢字は米粒が八つあるようにも見える。そこで私たちは、米をご飯、稲作、日本酒、和菓子、工芸、わら、信仰という、八つの角度から捉えてみた。」

そうか、米ってこんなに私たちの身近にあったものだったのね、と再認識しました。米だけで、一冊作ってしまうとは!!

3号は「アートとクラフトの旅」です。

「誌面に掲載された町や工房に、旅行業も手がけるUNAラボラトリーズのツアープ ログラムで実際に訪問することができる、旅とマガジンが一体化した特別編集号です。第1特集は『アートのある町へ』。古く からの温泉地であり、芸術祭を契機に街中にアート活動が溶け込む大分県別府市、水俣病からの地域再生を発端にアートによ るまちづくりを展開する熊本県津奈木(つなぎ)町を紹介。第2特集は『未来をひらくクラフトピープルに出会う旅』。九州各 地で伝統や歴史を引き継ぎつつ、新しいアプローチを模索するつくり手を訪ねます。 」

同社が実施しているツアープログラムのチラシも送っていただきました。なんと14種ものツアーがあります。みているだけで楽しいです。(ご自由にお持ち帰りください。)

しっかりとした目的意識と、それを視覚化する技術とノウハウを持った雑誌だと思います。頑張って販売していきます。昨日から販売を開始したのですが、早速2冊ほど売れました。お客様も、良いものはよく分かっておられるみたいです。

京都のカフェやギャラリーなどの情報にめっぽう強い、当店のお客様のIさんが、カフェで見つけた、とご紹介していただいたのが「よあけのたび」(ミニプレス/650円)です。

カフェ情報について熟知しているIさんが、知らない店ばかり!と言われたので、それは店で置いてみたいと連絡先を探し、販売の運びとなりました。(今のところ、書店で置いているのは当店だけです!)

「わたしにとって朝の時間は、たとえ近所でも、コーヒーとトーストというシンプルな食事でも、旅をしているときに感じる非日常のような特別な時間です」と、この本の著者まごさん。彼女は、今までになんと700軒以上もお店を回り、モーニングを食べたそうです。この本で取り上げられているのは、京都市内が9店舗、長岡京市が1店舗、そして鎌倉市から3店舗が紹介されています。

「お団子頭のおかあさんが細長い食パンを抱えて店のほうへ歩いてきた。ご店主だった。『おはようございます』マスクをしていても、その柔らかな表情は、目や声からじゅうぶん伝わるものだ。

買い出しを済ませた店主の後ろについて店の中へ入る。御所西に位置する喫茶『茶の間』で過ごすモーニングタイムは二回目。」

「茶の間」は地下鉄丸太町駅から徒歩9分というから、割とご近所です。分厚いトーストが実に美味しそうです。

西山の中腹にある善峯寺。ここは、日の出がクリアーに見える場所としてくる人の多い場所とか。ここで日の出を見た著者は、喫茶リゲルへと向かいます。

「ドラマチックな朝を迎えた後に向かった喫茶リゲルの店内は、先刻までいた善峯寺のような澄んだ空気に満ちていた。まだこの空間で呼吸をしている人が少ない証拠だ」と、ゆっくりとモーニングを味わい、「充実した朝の終わりは充実した一日の終わりに等しい」という風に文章を結んでいます。喫茶リゲルは長岡京市にあります。

写真と文章で楽しんだ後は、巻末に地図が載っていますのでお出かけください。

矢田勝美さん著「いのちをつなぐ海のものがたり」(ラトルズ/新刊1540円)が届きました。5月初め、矢田さんが育った漁村のこと、漁師をしている父親のこと、そしてこれからの漁業のことをまとめた本を出しました、とメールが入りました。

「幼いころは両親の手伝いが好きじゃなかった。でも、海の幸の恵みを受けられなくなるかもしれないという危機感、漁師がいなくなる、海が危ない……..そんなことを記録に残し、伝えていかなければならない」

そんな思いが、彼女にペンを握らせました。イラストレータの矢田さんが、ここではイラストを使わず、写真と文章で漁師の家庭、暮らし、仕事を丹念に追いかけていきます。令和4年度高校の国語の教科書に採用されるぐらいですから、決して難しい文章ではありません。私たちが知っているようで知らない漁師さんの姿を教えてくれます。

「魚の供養?私は漁師が魚を供養をしていることを、この時まで知らなかった。なんと『漁師は魚を殺生していることへの弔いをする』のだ。海の恵みを捧げてもらっている全国の至るところには、魚の供養塔も建てられているという。」

供養の様子が写真で紹介されています。また、彼らは漁で海亀がかかると、縁起を担いで海に返すといいます。彼女のお父さんは「ようけ魚取らせてくれよ。はよ竜宮に帰れよ〜、いうて放したるんや。そうやって声をかけると亀は必ずふり返る。」と話します。

「海は怖い」が口癖のお父さん。暮らしのために殺生をせざるを得ない彼らは、いのちに敏感になります。そして、海で漁師が亡くなると、海や、生き物に引っ張られたという言い方をします。

「船底一枚下は、たくさんの恵みを与えてくれるありがたい天国でもある。しかし、同時に、日々いのちがけの漁師とその家族にとっては、世にもおそろしい地獄なのだ。」常に死と隣り合わせである漁師が例える海の怖さは、漁師でない者にはきっとわからない。

ところで、伊勢湾奥部の鈴鹿の貝って極上の味だということをご存知ですか。貝はミネラル豊富な川の水が流れ込む干潟に育ちます。その点、木曽川、長良川、揖斐川の三つの川が流れこんでいる伊勢湾奥部は、よく肥えた干潟なので、ここで取れる貝は味がいいのだそうです。特にアサリは最高級とか。

そんな情報もゲットしながら、私たちは海に囲まれた国で育ったんだという事実を思い起こすのです。これからの漁師たちの暮らしがどうなってゆくのか、漁業がどうなってゆくのかは、他人事ではないのです。

本書は、海藻を使ったステキな栞付き。また、著者の前作「大地をまるごとやさしいごはん」(1980円)も同時販売中です。